ネタばれになってる気がします、すみません;
行者に祟られ、座敷童子に守られているという古い屋敷に、後継者選びのため親族一同が集められた。この家では子どもは生まれても育たないという。
小学六年生の耕介は亡き母の本家に初めて来た。初めて会う親戚の大人たち、いとこやら何やらの子供たち。あっという間に仲良くなって大きな家の蔵座敷で遊んで、気が付いたら一人増えていた。「お蔵さま」こと座敷童子が交じったらしい。
子どもは耕介の他、中一の梨花と小五の音弥と真由、小四の禅と一番小さくてその場にいなかった光太。誰が増えたのか自分たちには分からず、大人たちは人数が増えたことさえ気付かない。困惑の中、大人たちの夕食のお膳にドクゼリが混じっていたとかで、食中毒騒ぎが起きて一気に「それどころではない」雰囲気に。
ドクゼリが入っていたのは後継ぎの資格を持つ者のみ、今の時期のドクゼリを山菜と間違えて摘む者はいない――。大学生の三郎にいさんや先代の更に上の「師匠」はそう語る。だから「祟りだ」と。そんな筈はないと、子供たちは真相解明に乗り出した。
だが、不可思議な出来事はその後も続く。夜中に響く読経、軋む井戸の釣瓶、子らを沼に誘う人魂。巻き込まれた大人も一人、裏の沼底なし沼に落ちかけた。
その怪異に意図を読み取った禅は、犯人は二組いると判断する。家を譲りたくない誰かと、継ぎたい誰か。そして耕介は、ドクゼリを入れるチャンスがあった人物と、お蔵さまの正体にも気付く。… (裏表紙の紹介文に付け足しました)
再読。「ミステリーランド」出版時に一度読んでいたので。いや、もう21年も経っていたとは、月日の経つのは早いねぇ(しみじみ・苦笑;)。文庫版の表紙は村上勉さんじゃないのね~、耕介くんが書いたノート書きはそのまま使ってるのに。
そうそう、こんな話だったよな、と懐かしく思いつつ。…とか言いながら、誰が座敷童子だったかとか覚えてなかったんですけど(苦笑;)。
行者に呪われた一族とか、『悪霊シリーズ』を彷彿とさせる設定。子供同士はどうしても大人を「〇〇ちゃんのおじさん」とか表現するよね、とその辺りのあるあるも我が身に引き寄せて懐かしかったです。ダウンタウン松本さんの名言「いとこは大体仲良し」も思い出しましたし(笑)。
タイムテーブル、家系図、屋敷の間取りとミステリに欠かせないものは全て詰め込んだ感じ。小野さん特有の理屈っぽさは健在、可能性を消していけば真相に突き当たる。しかも活躍するのは子供ですし。こまっしゃくれた禅くん、いいよなぁ(笑)。
骨格がしっかりした作品だよな、と改めて思いました。