読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

鬼平犯科帳[決定版](五) 池波正太郎著 文春文庫 2017年

 シリーズ6冊目。文春文庫として1978年発刊されたもののリニューアル版。 

 深川・千鳥橋
 大工の万三は胸を病み、自分の寿命があと僅かなことを自覚している。馴染みの茶汲女 お元に多少なりとも金を残してやりたいと、自分が手掛けた商家の間取り図を盗賊に売ることに。だが、代替わりした盗賊 三代目鈴鹿の弥平次は、仲介人も万三も殺し、図面を手に入れようと謀った。長谷川平蔵密偵となっていた大滝の五郎蔵は、その企みを平蔵に報告、万三に咎めがないよう嘆願する。

 乞食坊主
 品川 貴船明神の社にて。鹿川の惣助と寝牛の鍋蔵は、次の仕事の打ち合わせをしている所を、社の下にいた乞食坊主に目撃された。実際、その坊主 井関録之助には話は碌々聞こえていなかったのだが、以来、命を狙われることになる。刺客として雇われたのが菅野伊介、だがこの男はかつて録之助や平蔵と同門で剣術を習った仲だった。血染めの法衣で鍋蔵たちを謀った後、録之助は平蔵の元を訪れ、自分の見聞きしたことを話す。

 女賊
 今は足を洗っている元盗賊 瀬音の小兵衛。かつて手放した子供 幸太郎が、今[猿塚のお千代]に引っかかり恋に溺れて、奉公先大坂屋の情報を、知らず流している状態らしい。小兵衛から偶然話を聞いたおまさは、平蔵に詳細を報告し、監禁されていた幸太郎の救出に向かう。

 おしゃべり源八
 同心 久保田源八が、行方不明になっている。漸く発見されたものの、身なりは百姓のよう、しかも記憶を失っていた。身に着けていた着物、場所から足取りを追う平蔵たち。源八は何を追っていたのか、言づてた筈の文はどこに行ってしまったのか、何が書いてあったのか。文を頼まれた男の行方を追って、平蔵たちは盗賊一味を一網打尽にする。

 兇賊
 鷺原の九平は一人働きの盗賊で、普段は神田で[芋酒・加賀や]を営んでいる。客として現れた平蔵の人柄にすっかり魅せられた九平は、以前街道筋でちらりと聞いた長谷川平蔵暗殺計画を思い出し、一人であちこち探り始める。やがてそれは料理屋に誘き出された平蔵の命を救い、首謀者 網切の甚五郎の退治に繋がった。

 山吹屋お勝
 妻を亡くし、隠居の身であった平蔵の従兄・三沢仙右衛門が突如、茶屋女を「妻にもらいたい」と言い出した。老父の情熱をもてあました長男に頼まれ、平蔵はその女 お勝に会いに行くことに。お勝の身のこなしに不審を感じた平蔵は、関宿の利八という密偵にお勝の身元を探らせることにしたが、お勝と利八はかつて引き裂かれた恋人同士だった。偶然の再会に運命を感じ、利八とお勝は手に手を取って逃げ、代わりにと平蔵に文を残して行く。お勝は実は霧(なご)の七郎の[引き込み]であり、七郎は恨み重なる平蔵の実家に押し込もうとしていた。

 鈍牛(のろうし)
 同心 田中貞四郎が放火犯を捕まえた。柏屋という菓子屋で働いていた亀吉、だがあまりにも善人で、周囲の誰もが「亀吉が犯人の筈がない」と思っているらしい。亀吉は一旦は自白したものの、平蔵の調べに犯行を否定し、だが目撃したらしい真犯人の名は出さない。仕方なく晒し者にしていたある日、平蔵は亀吉と目が合った人物に気付く。…  (一部裏表紙の紹介文に付け足しました)

 うぬぅ、以前出て来た盗賊たちの関係者が続々出てくるよう; こちとら読んだ端から忘れて行ってるのに;; 登場人物の相関図とか、関連本なんかで出てそうですね。ファンの人で、自作してる人いそうだなぁ。
 現在の基準からするとちょっとどきっとする表現もあって、そのたび作品世界から引き戻されてしまうことも有り。読む機会はいくらでもあったんだから、もっと前に読んどきゃよかったなぁ、そしたら素直に作品そのものを楽しめただろうに。記憶力も確かで、盗賊たちもばんばん覚えられていたでしょうに、苦ぅ;;