読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

大家さんと僕 これから 矢部太郎著 新潮社 2019年

 『大家さんと僕』続編。

 季節はめぐり、初めての単行本が大ヒットとなった僕は、トホホな芸人から一躍時の人に。忙しい毎日を送る一方、大家さんとの楽しい日々には少しの翳りが見えてきた。僕の生活にも大きな変化があり、別れが近づくなか、大家さんの想いを確かに受け取り「これから」の未来へ歩き出す僕。
 美しい感動の物語、堂々完結。  (出版社HPより)

 大家さんと一緒に旅行したり、食事をしたり、年末年始等季節の行事を過ごしたり。思い出話を聞くうち、前の下宿人に嫉妬したことも。
 二度骨折した大家さんは病院から施設に移り、家にはおそらくもう戻れないから、ということで「僕」に退居依頼が。でもそうなる前に、大家さんは…。
 大家さんが亡くなったことはニュースにもなっていたので、知っていました。結末を知りながら読む今回は、やはりかなり切なく哀しい。
 元通りを願う「僕」に、現実を見据えるよう諭す大家さん。この凛とした態度が、皆に愛される一端なんでしょうね、大家さんかっこいい。
 弱々しくなっていく大家さんを、矢部さんよく見舞ってあげましたね、こういうの苦手な男の人多いのに。自分の感情ではなく大家さんが会いたがっていることを優先する優しさ。粗雑と思われた先輩の「ゆっくりと景色を楽しみながら下ってる」は胸に沁みました。
 華やかな受賞会場で、大家さんを心に描いて支えにする矢部さん。もうすっかり矢部さんの一部になって、矢部さんを担ってる。

 そうそう、大家さんの羽生結弦選手へのスタンスにはちょっと共感しました。というかフィギュアスケートに限らず、夢中になって見てるものに雑音が入るのはいやですよねぇ(笑)。

 前の下宿人さんも、お葬式には参列できたのかな。年賀状とか確認して、誰か連絡してくれてたらいいな。お別れはしたかったろうから。