読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

林原めぐみの ぜんぶキャラから教わった 今を生き抜く力  林原めぐみ著 KADOKAWA 2021年

声優・林原めぐみがキャラクターたちから受け取ったメッセージ

デビュー以来、さまざまなアニメ作品で、数多くのキャラクターの声を担当してきた、声優・林原めぐみ
どのようにそれぞれのキャラクターたちと向き合ってきたのか。
そして、彼や彼女たちからどのような思いを受け取ってきたのか。
作品や演技、アフレコ現場などに関するエピソードに加えて、読んだ人が今を生きていくうえで、ちょっとしたヒントになるような……
そんなメッセージを随所に込めて、書き下ろされた一冊。
漫画家やクリエイターから寄せられたイラストやコメントも収録。(出版社HPより)

 おお、全ページオールカラー! 贅沢な作りだなぁ。
 いやもう感涙! 読み進めるうち、自分の「あの頃」まで蘇ってくる。
 林原さんとさして年齢の変わらない私がそう思うんだから、これ、リアタイしてた人たちは堪らないだろうなぁ。
 とか言いながら、林原さんがガンガン主役演じてらっしゃった90年代の作品を、私はあまり見ていなくてですね; 何故かと言うとうちのテレビにはTV東京(=TV大阪)が、かなり長いこと入らなかったから。やっと入るようになったのは確か1995年後半で、でもビデオデッキには何故か録画できず、リアルタイムでしか見られなかったから。…エヴァは根性で帰宅したなぁ(苦笑;)。
 それでも懐かしく思えるのは、林原さんのラジオを聞いていたからですね、「ハートフルステーション」のリスナーだったのですよ。めぐさんの曲『街へ出よう』は今でもカラオケで歌いますし、『ミンキーモモ』の主題歌『四月の雪』は感極まって声が震えます。…作品観てないのに(苦笑;)。『あひるのクワック』の話、当時からしてらっしゃったなぁ。
 どの役も軽々とこなしてらっしゃるように聞こえていたのに、こんなにも目に見えない苦労があったとは…! 当時ラジオでも「『普通に』『自然に』という演技に苦労した」等という話はしてらっしゃった覚えはあるんですが、もう既にご自分の中で昇華した後だったのか、エンタテインメントになった状態のエピソードとして披露されていてですね、『幽遊白書』の幻海師匠であんなに悔しい思いをされていたなんて、思いもしませんでした。『シャーマンキング』への思い入れも、そりゃ強い筈だわ。
 『エヴァンゲリオン』の綾波レイから得た、人間の「無意識に嘘をつく」行為への気付き、ひいては軽いプロファイリング能力の獲得。以前山口勝平さんが林原さんを評して「貫禄がついちゃって」って仰ってた覚えがあるんですが、もしかしたらこれに関係するのかも。もっと軽いものとして、南海キャンディーズの山里さんやオードリーの若林さんがネタにしていたのと似ているような気もしました。

 音響監督やプロデューサー等、裏方を担う人の役割も説明されてます。それに絡んだ各作品のエピソードも嬉しい。「何もできない」ヒロインとしては『忍空』が挙げられてましたね、『テッカマンブレード』でもそうだった気が(笑)。

 すごいのはこれ、一種のアニメ史にもなっていること。ラジオドラマ、CDドラマからOAV、TVアニメ、主演声優が主題歌を担う流れ(その前から声優さんが歌う、ということはありましたけど、確立されたということでしょうね)、今ではほぼ当たり前の「原作に忠実な映像化」ではなかった点、そう、どの作品からかな、「シーズン2」が始まったのは。
 数々の漫画家さん、監督さん等からの寄稿もあり(あかほりさとるさんからではなく北川みゆきさんからなのね・笑)、本当に贅沢な一冊。それもこれも、様々な人生を演じて得た林原さんの人徳ありきなんでしょう。
 各人からのメッセージでもありましたが、まだまだ通過点ですよね。林原さんのご活躍、これからもお聞かせ下さい。