読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

楽園の烏 阿部智里著 文藝春秋 2020年

 『八咫烏』シリーズ 第2部1巻。
 ネタばれあります、すみません;

 血の繋がらない資産家の父から、安原はじめは山を継いだ。元々放浪癖のある山師だった父は7年前から行方不明になっていて、相続における条件は一つ「どうしてこの山を売ってはならないのか分からない限り、売ってはいけない」というもの。果たして間髪入れず、はじめの前に何人も「山を売って欲しい」と申し出て来る者が現れる。そして、「山の秘密を教えてあげる」という美女も。自らを幽霊だと名乗る美女は、はじめを山内と呼ばれる異界へ送り込む。はじめは山内で、八咫烏一族から接待を受けることになった。
 案内役は頼斗、エリート集団山内衆の一人、山内を楽園と信じて疑わない貴族出身の青年。数年前まで宿敵の猿との戦いに明け暮れていたが、今は全て退治されて皆幸せに暮らしていると言う。はじめのリクエストで訪問した遊郭でも、聞こえてくるのは耳障りのいい言葉ばかり。だがそこで、はじめたちは猿に襲われる。逃げ込んだのは貧民街、かつて黄烏に反乱を起こした人々の生き残りが、細々と暮らしている町。はじめたちはそこで、かつての山内衆の弾圧の所業を知った。
 山内衆を憎む子供トビと共に 捕虜となった人々へのその後の処遇を見て回るうち、頼斗に上司への疑問がよぎる。合間にも猿の襲撃は続く。トビははじめの引き渡しを条件に、捕虜の解放を要求した。だがその反乱は非情な結果を生み、頼斗は安原と共に山内を出る決意をする。…

 第二部開幕、雪哉がどんどん嫌な奴になってます!(爆!)
 ええと、第1シリーズの内容をしっかり覚えていなかったのを、読み始めて自覚しました; 金烏はどうした?? どんな烏でも傷つくことを好まないんじゃなかったっけ、何で雪哉のこのやり方を許してるんだ?? 
 合理主義の鬼と化した雪哉こと博陸候 雪斎、千早は決別したようです。滅びを防ぐため烏の自覚のない烏を人間として育てる計画を立てているようす、前作から何年も経ってるみたいだし、どこまで進んでいるのやら。でも山内も一枚岩ではないことが今回で明らかになりました。
 幽霊を名乗る女性の正体は、安原はどう関わってくるのか、頼斗はどう行動するのか。まだまだ続く感じです。