読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

八咫烏外伝 烏百花 蛍の章 阿部智里著 文藝春秋 2018年

 『八咫烏』シリーズ外伝短編集。

 しのぶひと
端午宮中行事の競馬で、見事な弓矢の腕を見せた雪哉に思わず見とれる真赭の薄に、雪哉との縁談が持ち上がった。激怒する真赭の薄、彼女に雪哉を勧めた人物は、実は…。

 すみのさくら
浜木綿こと墨子の、幼い頃いきなり両親と引き離された境遇。彼女の両親は弟宮暗殺を企てたとして秘密裏に始末されたという。誰も近付かない両親の墓へ、その死を悼むように参る人影があった。

 まつばちりて
花街に生まれながら、その聡明さを見込まれて、大紫の御前に仕えることになったまつ。松韻と言う名を貰って、女であるという戸籍を捨てて、今上陛下の元で働く。同僚には忍熊という何かと気に入らない男もいて、ただ筆跡の見事さには一目置いていた。やがてその男との縁談が持ち上がり、松韻は瞠目する。

 ふゆきにおもう
雪哉の母親 冬木のことを思い出す梓。冬木は梓の主人で、傲慢で頭がよくて孤独で、垂氷郷の雪正に恋をした。嫁いだものの体の弱い冬木に子供は望めない。やがて梓に、側室として雪正の元へ行くよう、命が下る。

 ゆきやのせみ
若宮は放蕩の末、無銭飲食の疑いをかけられた。牢屋から逃げる手伝いを、不本意ながらする羽目になる雪哉の苦労。

 わらうひと
真赭の薄に自分の気持ちを伝える澄尾。だが伝えっ放しでその後のリアクションのなさに、真赭の薄は腹が立って仕方がない。…


 前日譚あり、後日談あり、全然関係ない宮中内の話もあり。
 面白かったのは雪哉の母親の話かな、冬木が雪哉にそっくりで(笑)。
 おそらく嵌められた浜木綿の両親。自分を殺そうとした者の死すら悲しむ弟宮の姿に、成程、これが金烏の性か、とちょっと納得しました。
 さて、本編はどう続くのかな。ハッピーエンド的に持って行くのかなぁ。