読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

弥栄の烏 阿部智里著 文藝春秋 2017年

 『八咫烏』シリーズ6冊目。
 前巻『玉依姫』を、烏側から描いたエピソード。
 ネタばれあります、すみません;

 そうかぁ、山神に焼かれた烏の中には、茂丸が含まれてたか。ますます荒む雪哉、有能と非情に磨きがかかります。凌雲宮を囮にする、ってのはでも何となく察しがつきましたけど。
 猿との因縁にも一応決着はついた形になったのかな、自らの過去の裏切りと卑怯さを突き付けられた奈月彦、でもそれは生き延びるための方便でもあった訳で、猿との価値観の相違でもあり。楽に走った代償に慄く奈月彦に、それが何だと言わんばかりに「弥栄」を唱和する雪哉。
 誇りを捨てた烏たちの、山内の滅亡は決まったようです。山神は烏たちとは今後関わらない様子、いや、山神はいいけど志帆はどうするの? 食料とかの貢ぎ物、必要でしょうに。それとも志帆は人間界でそのまま暮らしていくのかな。
 そうそう、今回の裏表紙、赤ちゃんを抱きしめる奈月彦の絵は、あれはどうかと思いました。一種のネタばれになるんじゃないかな。志帆に治癒能力が備わったことは前回から判明してましたものね、冒頭の浜木綿のエピソードがあった段階で、あ、これは、と思ってしまいましたもの。
 
 全く関係ない話として、大天狗が山神の正体を切り出した時の台詞「今言うべきか迷ったが…」に思わず吹き出しかけたのは私です。…いや、違う作品を思い出してしまいまして;;

 さて、これからは烏たちの衰退の様子が描かれるのか、それとも救いはあるのか。
 話はまだ続くようです。