読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

幽霊の歴史文化学(二松学者大学学術叢書) 小山聡子・松本健太郎編 思文閣出版 2019年

本来、目に見えないはずの幽霊―しかしこれまで日本人は、それを文学作品や映像コンテンツによって描いてきた。

「幽霊」という言葉の意味は時代によって変遷し、それはときに現代人の多くが想像するものと大きく異なる。人びとは幽霊をどう感知し、それを表象するためにいかなる工夫をしてきたのか、幽霊になにを求めたのか。

歴史学、メディア学、文学、美術史学、宗教学、社会学民俗学等さまざまな研究分野から日本人の精神世界の一端に迫る。

 

第Ⅰ部 幽霊の存在論―それはどう生起するのか
生と死の間―霊魂の観点から―(山田雄司)
幽霊ではなかった幽霊―古代・中世における実像―(小山聡子)
死霊表象の胚胎―記紀万葉集を中心に―(松井健人)


第Ⅱ部 幽霊の表現論―それはどう描かれるのか
化物振舞―松平南海侯の化物道楽―(近藤瑞木)
『新釈四谷怪談』のお岩が映しだすもの―占領期の日本映画検閲と田中絹代のスターイメージをめぐって―(鈴木潤)
祟りきれない老婆と猫―中川信夫『亡霊怪猫屋敷』のモダニティ―(山口直孝)
幽霊とゾンビ、この相反するもの―肉体と霊魂の関係性と価値観の伝播について―(岡本健)
予見者・反逆者・哲学者―大塚睦の「幽霊」―(足立元)


第Ⅲ部 幽霊の空間論―それはどこに出没するのか
上から出る幽霊―地上七・八尺の異界―(山本陽子)
立ち現れる神霊―御嶽講の御座儀礼―(小林奈央子)
大都市江戸の怪異譚―『耳袋』と『反古のうらがき』から―(内田忠賢)
デジタル時代の幽霊表象―監視カメラが自動的/機械的に捕捉した幽霊動画を題材に―(松本健太郎)
現代社会の幽霊(ゴースト)的読解―ホラー映画の表象とメディアの物質性(マテリアリティ)―(遠藤英樹)

                                           (出版社紹介文より)

 

 書架に並んでいて、気になった一冊。予約本がラッシュで来てたのですが、こういう本は見逃しちゃうと後で探し難くなるので、とにかく確保の意味で借りました。案の定、延長延長を繰り返し、ようやく読了(苦笑;)。でも読み始めたら各論文ともそんなに長くはなかったので、読み易かったです。

 万葉集の昔から幽霊の記述はあったそうで、もうこうなると日本人の根本に刷り込まれてる意識なんでしょうか。いや、西洋にもあるんだけどさ; 天井から逆さまに現れるとか、そういえばそういう風に描かれてる映画とか漫画とかもあるよなぁ、と妙に納得。戦後、ホラー映画にも検閲があったというのも初めて知りました。…改めて考えると、そりゃそうだろうな、とは思ったけど。江戸時代の好事家の道楽、ってのも本当、お金持ちの考えることは…って感じですねぇ。どれだけ精巧な物が作れたのか、いわゆる生き人形レベルまで行ってたんだろうか。

 これだけの知識、ずっと持ててたら面白いんだろうけど、きっとすぐ忘れちゃうんだろうなぁ; いやでも面白かったです。