読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ペテロの葬列 宮部みゆき著 集英社 2013年

 シリーズ3作目。
 ネタばれあります、すみません;

 社内報のため、リタイアした元幹部社員・森信宏のインタビューを聞いた帰り、杉村三郎と園田瑛子編集長はバスジャックに会った。犯人は佐藤一郎と名乗る老人、要求は三人の人物を連れてくること。銃をかざしながらも奇妙に心惹かれる喋り方をする老人に、反発心を隠さない園田編集長。だが杉村をはじめとする他の乗客は老人に好意に似た気持ちを抱く。
 バスジャックは警官隊の突入、老人の自死という形で幕を閉じた。多少ネットはざわついたが、そのまま終焉するかに思われたのに、ほとぼりがさめた頃、人質になった人々に多額の現金が送られて来る。
 バスの中で老人が話していた「慰謝料」なのか。すんなりと懐には収められない、という意見に杉村が動く。みんなで老人の素性を調査するうち、園田が感じていた嫌悪感の正体が明らかになって行く。
 高度成長期の〈センシティビティ・トレーニング〉から悪質商法へ。老人はその流れの一端にいた。要求した三人の人物も、ネズミ講として多大な被害者を出した〈日商友の会〉の幹部クラスにいた被害者だった。悪質商法に絡んだ事件が杉村の周りで相継ぐ。送られて来た金が真っ当に稼がれたものではなかった、人質仲間の間にも被害者がいた、という事実は彼らの間にも確執を生む。やがてそのうちの一人は、同じ路線でバスジャックを起こした。…


 初めのうちは展開が結構ゆっくりで、なかなか前に進まないなぁ、と思いつつ読んでいたんですが。
 いやぁ、ラストで衝撃が走りましたね。何か、悪質商法云々が吹っ飛ぶような爆弾でしたよ。家族間のイベント中でもしょっちゅう呼び出される杉村さん、ここで奥さん不満言わないのは流石だな、とは思っていたのですが。今多コンツェルン会長の義父との関係もよくなってたのに。
 奥さんのしたことは許されないことで、何を我がまま言ってるんだか、て片付けることはできるんですよ。でも穿った見方をすれば、これで杉村さんは罪の意識なく解放される訳でもある。
 セレブな生活を送り、それが許される菜穂子さん。自分で稼ぐことができるのか、って言ったら、でもこんな人が、案外すんなり事業成功させたりするんだよなぁ(苦笑;)。
 以前、宮部さんが何かのインタビューで、「三作かけて主人公が探偵になる話」と言っていたことを思い出しました。影を背負った杉村さんは、これで探偵になるのかな。
 何かでも、私ドラマ見てませんけど、杉村さんは小泉孝太郎ではないと思いました。