読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

発現 阿部智里著 NHK出版 2019年

 ネタばれになってるかな、すみません;

 平成三十年。村岡さつきは年の離れた兄の変わりよう、衰弱に驚く。配偶者と可愛い娘に恵まれた、ごく普通の幸せな家庭だった筈なのに、兄は幻としか言えないものを見て怯える日々を送っていた。
 実家に戻って来た兄に代わって、姪の面倒を見るうち、さつきまでが幻覚を見るようになる。小さな女の子と曼殊沙華、血の匂い。それは、さつきたち兄妹の母親が、命を絶つまで見ていた幻覚と同じものだった。
 昭和四十年。山田省吾は東京の兄が自殺したとの知らせを受けた。戦後、シベリア抑留から生き延びて、娘にも恵まれ、幸せな家庭を築いていた優秀な兄。何かから逃げるように、歩道橋から飛び降りたという。兄の死の理由を知りたくて、省吾は兄の戦友や当時の上司を知る人を訪ね歩く。だが、何故か義姉はいい顔をせず、手掛かりになるようなメモや手紙を焼き払おうとまでする。
 彼らの見たものは何だったのか。過去と現在が繋がって見えた真相とは。…


 霊とか怨霊とか、そういう類のものではどうやらないらしい、というのは新鮮だったんですが。
 …これは、解決のしようがないな~。背負って生きていくしかない、という結末に至るんですが、でもこれ、もうお兄さんに子供いるしなぁ、彼女に引き継がれてる可能性は十分ある訳で、それは何だか可哀想な気が…。連鎖を断つには子孫を作らない、ってのが最も手っ取り早い。
 何かもやもやした後味でしたね~、う~ん;;