読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ドライブインまほろば 遠田潤子著 祥伝社 2018年

 峠越えの“酷道"を照らす一軒の食堂。
義父を殺めた少年、幼い娘を喪った女、親に捨てられた男。
孤独と絶望の底で三人の人生が交差したとき、
まほろば〉が見せた"十年に一度の奇跡"とは?
ベストセラー『雪の鉄樹』で大注目の著者が贈る、心震える長編小説。

「人殺しになるくらいなら、生まれてけえへんかったらよかった」
奈良県南部の秘境の村を通る峠越えの旧道沿いで、細々と営業を続ける「ドライブインまほろば」。
ある日、憂と名乗る少年が幼い妹を連れて現れ、「夏休みが終わるまでここに置いてください」と懇願する。
一人娘を喪った過去を持つ店主の比奈子は、逡巡の末、二人を受け入れた。
だが、その夜更け、比奈子は月明かりの下で慟哭する憂に気付く。
震える肩を抱きしめる彼女に、憂は衝撃の告白をはじめた……。
――愛を知らずに育った者が生きる意味を問い続ける、再生の物語。           (帯文より)

 あれ、今回は何だかほんわかしたタイトルだな、と思いながら読み始めたら。
 …やっぱり暗い話でした(笑)。ドラマチックで不幸が詰まった話、だけど登場人物たちが光を見出すまで。作者、ここに手を出したか、ってエピソードもあったり。
 ラスト、ちょっと都合良すぎるかも、という展開にはなりましたが、面白かったです。心に闇を抱えた人物たち、でも性根は腐ってないんだよな。今回、何だか美味しそうな食べ物が結構出て来て、そうか、「美味しいもの」は心に傷を抱えた人に沁みるんだな。そういえば今までの作品でも、キーポイントになる食べ物って出て来てたよなぁ、と改めて思い出しました。