読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

月のさなぎ 石野晶著 新潮社 2010年

 第22回ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作。
 ネタばれ、とまではいかないかもしれませんが、かなり設定を書いてます、すみません;

 その学園は隔離されていた。そこに集められているのは月童子と呼ばれる生徒達で、生誕時に性別がない。数千人に一人の割合で生まれ、病原菌への抵抗がなく、化学物質にも弱い。大体18歳前後で性別が決定し、そうなると学園を卒業して一般社会へ出て行く。
 ある日、学園に侵入者が現れた。演劇部の上級生・薄荷は彼――雪矢を追いかけ、学園に来た理由を尋ねる。雪矢は今、外の世界では未知の病原菌に侵されていて、その病気への抵抗力を持っているのが元月童子や月童子を産んだ母親しかいないこと、自分は製薬会社の人間で、月童子の血液などのサンプルを手に入れようと学園に忍び込んできたことなどを話す。
 雪矢の故郷の話を聞いて、外の世界に憧れる薄荷。しかし彼は元の世界に戻らねばならず、雪矢を手引きした用具係の男が殺されたこともあって、薄荷は雪矢と共に学園からの逃亡を決意する。
 薄荷を応援したのは寮で同室の空だった。自分の髪さえ刺激になって肌に痕がつくような繊細な空。自分に対してまるで無頓着で、理科助手のカイの求めるまま、自分の身体に文様を描かせて構わなかった。しかし薄荷の声を聞き分けて、カイと共に薄荷を助けに向かう。
 学園の創設者だという「サラ様」やその使い『清めの官女』の伝説、降臨祭、薄荷や空にある幼い頃の記憶。何かが歪んでいるもどかしさ、生まれて初めての愛情。月童子の真実が、やがて語られる。…

 作者紹介に、好きな作家が載ってまして、一番最初にあった名前が恩田陸。…うん、本当、そうだろうと思ったわ。きっと理瀬のシリーズとかお好きですよね。
 一昔前なら、この内容は少女漫画だった筈。きれいで中性的で、妖しげな雰囲気はいかにもです。好きな世界の筈なんですが、何だかもう一つ乗り切れない。いかにもすぎてわざとらしく感じる所があるせいかしら。…これ、恩田さんが書いたらもっと緊迫感ある内容にしてたんじゃないかなぁ、とか思ってしまう。あ、でも恩田さんが書いたら恋愛沙汰はきっともっと少なかったかな(笑)。