読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

白いりゅう黒いりゅう――中国のたのしいお話 賈芝・孫剣冰編 赤羽末吉 イラスト 君島久子訳  岩波書店 1964年

 童話集。

 九人のきょうだい(イ族)
不思議な丸薬で、9人の息子を授けて貰ったおばあさん。その名も「ちからもち」「くいしんぼう」「はらいっぱい」「ぶってくれ」「ながすね」「さむがりや」「あつがりや」「切ってくれ」「みずくぐり」。
王さまの宮殿のはしらを支えてなおした「ちからもち」は結果王さまに恐れられ、色々無理難題を押し付けられます。その度、9人の兄弟たちがそれぞれの力で対応します。

 犬になった王子(チベット族
チベットのプラ国アチョ王子は、山の神のリウダさまに、穀物のタネを貰いに行こうと決意します。たった一人、山の神の住む滝に辿り着きましたが、実際にタネをもっているのは蛇王だということ。山の神から「風の玉」を貰い、王子は蛇王が眠っている間に玉座から穀物のタネを盗みます。しかし、蛇王に見つかって、金色の犬の姿に変えられてしまいました。
東へ向かった王子は、ロウルの村で村長の末娘と知り合います。末娘と親交を深めた王子は、麦を撒きながら自分の国に帰ります。娘に、その麦を辿ってついて来てくれるよう頼んで。

 天地のはじめ(プーラン族)――巨人グミヤーの話――
神の巨人グミヤーはさいに似た獣から美しい天地を作り出しました。所が、この世界を羨んだ太陽の九人姉妹と月の十人兄弟は、灼熱の光を浴びせかけます。死の世界と化した天地に怒り狂ったグミヤーは、弓矢を取って太陽と月を残りひとつになるまで射殺します。恐れた月と太陽は、東の果ての大きな岩の洞穴に隠れてしまいました。すっかり冷えてしまった地上を嘆いて、グミヤーは太陽と月に出て来てくれるよう、動物を遣わします。

 ねこ先生と、とらのおでし(漢族)
こねこに、すばしこく『山こえ谷こえできる技』を教えてくれ、と頼み込むとら。こねこはのろまなおでしを仕込みますが、どうも性根の悪いとらを信用しきれません。案の定、技を覚えたとらはこねこに襲い掛かって来ました。

 くじゃくひめ(タイ族
白い象が現れた日に生まれた王子チャウ・スートン。井戸から伝説の王の宝の弓を見つけ、自分の妃を探す旅に出ます。湖で、孔雀から変化した美しい乙女を見た王子は、ぜひともそのうちでも一番心惹かれた末娘を妃にしたいと考えました。過去、たまたま水の神の化けた魚を救っていたことから水の神の助けを得た王子は、アドバイスに従い、彼女の羽衣を隠します。王子は妻として乙女を連れて帰りましたが、自国の大臣は面白くありません。乙女を魔女として殺そうとします。乙女は羽衣の力で孔雀に化身し、王子を思いながらも自国に帰ります。王子は長い苦しい旅路の末、乙女の国に辿り着き、彼女の父、その国の王さまの難題を解いて乙女を国に迎えます。

 白いりゅう黒いりゅう(パイ族)
大工のヤン名人は、我が子のチーチンが「竜が淵」の黒い竜に引きずり込まれてしまったことを切っ掛けに、竜を退治することを誓います。木彫りの竜に魂を込めて淵に放します。しかし、その白い竜は黒い竜に敗れてしまいました。二年目、ヤンは鍛冶屋の協力を得て、牙や爪を鉄で作り、ヤンの世話を焼いてくれた二人の弟子たちも小さな竜を八匹作って、あわせて淵に放します。黒い竜の数々の妨害にも負けず、黒い竜を海に追いやるのです。…


 読むものに困ると借りて来るのが童話、説話、神話になりますね、元々好きだしハズレないし、時間とらずに読めるから予約本が回って来ても対処できるし(笑)。
 面白かったです。本当、基本の話で。
 天岩戸神話や羽衣伝説にもよく似た話も出て来て、こういうのは自然に発生してくるものなのか、ルーツがあるものなのか。ルーツの方なら大元はどこなんだろう、こういう研究楽しそうだよなぁ。
 『白いりゅう黒いりゅう』に関しては、これ内容や演出膨らませ易そうで、昔懐かし東映まんが祭りの一編にどうしてならなかったんだろう、と思ってしまった。チーチンが白い竜の背に乗って見えた、なんて凄くドラマチックじゃん! 高畑勲宮崎駿監督とかいかにも好きそうな題材だと思うんだけどなぁ。
 中国でくくるには地域が広すぎて内容も多岐に渡るような。それぞれもっと細かく沢山ありそうですよね。
 そう言えば、絵:赤羽末吉ってビッグネームですよね、『スーホの白い馬』の方。こう言う児童書は、こっそり贅沢なんだよなぁ。