読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

泣き虫弱虫諸葛孔明 第伍部 酒見賢一著 文藝春秋 2017年

 シリーズ最終巻。

 何故か前巻で終わりだと思い込んでました。いや、劉備が死んだんだったよな。
 で、今回です。
 …劉備が死んでからって、こんなに面白かったっけ??
 私は三国志は、吉川英治の分を大学生の頃に読んだだけ、しかも大方忘れてしまってるんですが、…諸葛孔明、後半こんなにアクティブに動いてたんだ。
 出だしは三國志をラーメン屋闘争になぞらえて、う~ん解りやすい(笑)。作者の「兵というものが分からない」はまさしくその通りだと思います。何をモチベーションに戦ってくれてるんだろう、あっという間に見捨てられて、大将だけが生き残るような世界なのに。
 蜀は手始めに南方平定に動き出します。前述の吉川英治版ではどうにも理由が理解し難かった戦争なんですが、そうか、後顧の憂いを無くすために必要だったのか。象は出て来る、猛獣も出て来る、化け物じみた人間も出て来るんですが孔明負けません。地の利を利用し、人の心を掴んで操って孟獲を七擒七縦、反抗心をくじいておいてから、次は北伐。呉を牽制しつつの対魏戦です。戦術戦略、やっぱり面白い。
 逃げる演技が異様に上手くなる蜀軍、闇に乗じた同士討ち作戦、相手を疑心暗鬼にさせて仲間に引き込む等々、田中芳樹著『銀河英雄伝説』や『アルスラーン戦記』を彷彿とさせる…って違うから、三國志の方が先だから!と何度も心の中で自分に突っ込み入れましたね(苦笑;)。そう、大切なのは補給なんだよ。趙雲が途中で死んじゃったことも大きかったんだろうなぁ。人心掌握という点において、大将軍が孔明に心酔している姿を見たら、そりゃ他の人は文句言えませんよ。

 小説は(小説だったんだ)孔明の死で終わります。そうか、この作品は三國志じゃないもんな、孔明が主人公ですもんね。
 いや、面白かったです。長かったけど。で、相変わらず人の名前は出てきた端から忘れたけど(←おい;)。