読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

九十九藤 西條奈加著 集英社 2016年

 江戸の人材派遣業、口入屋・冬屋の女主人となったお藤。「商いは人で決まる」が口癖の祖母に口入稼業を仕込まれ育ったが、実家の不幸が重なり天涯孤独の身に。義母から女衒に売られるも必死に逃げ、江戸で生きてきた。
 お藤は、払いが悪く悶着の多い武家が相手の商いで傾いた店を救うため、ある勝負に打って出る。取り扱う客を商家に絞り、男の奉公人志願者に徹底した家事指南を行い、大店へ送り込む。前代未聞の大転換は周囲の猛反発を呼んでしまう。
 そんな折、お藤は女衒から逃げていた時に助けてくれたお武家によく似た男と出会う。男は黒羽の百蔵と呼ばれ、江戸中の武家奉公人の上に立つ恐ろしい人物だった。
 冬屋の挑戦がようやく成果をあげはじめた頃、その好調ぶりを忌々しく思う人宿組合の顔役たちは百蔵を相談役に据え、冬屋潰しを目論む。お藤たちは真っ向勝負を挑むが――。
 人は何のために働くのか、仕事の喜びとは何かを問い直す渾身の長編時代小説。         (紹介文より)


 出だし、これはきっと面白いぞ、と居住まい正して読み始めたのですが、後半何だかテイストが変わってしまいましたね。思わぬ視点からの左前の口入屋の立て直し繁盛記、とわくわくしてたんですが、何時の間にやら色恋沙汰に。…となると、あれ、私が読みたかった話じゃないな、とちょっとテンション落ちてしまいました。勝手なもんです。
 面白かったことに間違いはない。不器用で、でも人のいい泰治の身の振り方とかは物凄く納得しましたし。まさしく適材適所ですね。でも私は、お兼さんの指導は受けたくないなぁと思ってしまいました。「体に染み込ませる」のではなく、まず理屈というか真意を話して貰った方が受け入れやすいなぁ、きっと。
 お品さんというおかみさんのキャラクターは秀逸でしたね~。『恋細工』で出て来た女友達といい、西條さん、こういう魅力的な女性書くの上手いなぁ。