読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ナミヤ雑貨店の奇蹟 東野圭吾著 角川書店 2012年

 連作短編集、になるのかな。
 ネタばれあります、すみません;

第一章 回答は牛乳箱に
 押し込み強盗をやらかしてとある廃屋に逃げ込んだ敦也、幸平、翔太の三人組。そこにはナミヤ雑貨店という看板が掲げられていて、老主人は40年前、近所の小学生たちの悩み相談相手として評判だったようだ。
 三人が身を潜めていると、突然悩み相談の手紙が閉じたシャッターの郵便投入口から舞い込んできた。オリンピック出場のための鍛錬と病魔に冒された恋人の看病との間で揺れる女性と、手紙をやりとりすることになる三人。やがて三人は、ナミヤ雑貨店の時間の流れが通常と違うことに気づく。どうやら手紙は過去、1979年から来たものらしい。

第二章 夜更けにハーモニカを
 克郎は音楽への夢止みがたく、魚屋を営む両親の願いを振り切って東京に出た。だがなかなか芽が出ない。祖母の葬式と父親の入院を切っ掛けに、ミュージシャンへの道を諦めようかと、ナミヤ雑貨店に相談を持ちかける。ぼろかすに言われる返事に、最初は腹を立てる克郎。だが結局は諦めることなく、音楽活動を続けることになる。八年後のクリスマス、児童養護施設の慰問演奏に訪れるまで。

第三章 シビックで朝まで
 長年連れ添った妻を亡くして落ち込んでいた父親・雄治が、近所の子供相手に悩み相談を始めたらしい。同居を勧めに来た息子・貴之に、不倫相手の子供を身籠もってしまったという相談を貰った、と話す雄治。父親の真摯な態度は貴之の心を動かし、やがて父親の不思議な依頼も了承する。死期の迫った父親を一晩店に連れて行くこと、三十三回忌にはナミヤ雑貨店の相談窓口を復活させること…。

第四章 黙祷はビートルズ
 和久浩介はビートルズに魅せられた中学二年生。裕福な家庭で何不自由なく育ったが、父親の事業失敗により夜逃げをすることに。今まで信頼していた分、父親が信用できなくなってしまった浩介は、ナミヤ雑貨店に進退の相談を持ちかける。結局途中で両親から逃げ出した浩介だったが、40余年ぶりで帰った故郷で、その後のことを知ることになる。

第五章 空の上から祈りを
 翔太たち三人の元に、三通目の相談が届いた。19歳の少女が、今いる会社を辞めて水商売で身を立てようかと悩んでいる、というもの。何回かの遣り取りの末、三人は未来の出来事を教えて投資を成功させ、その少女を手助けしようと返事を書く。いずれその女性の家に強盗に入ることなど夢にも思わずに。…


 う~ん、さすが東野圭吾、リーダビリティ半端ねぇ。
 面白かったです。各話の出来事、人物が伏線として集結していく見事な展開。読者だけでなく、雑貨店に侵入した三人組もちゃんと結末を知られる、ってのがいいなぁ。彼らが出した返事のその後を、彼らも知ることができる、何気なく出した手紙の分まで。しかも珍しく後味がいい!(笑)。お嬢さんは独身を貫いたのに、浪矢さんはあっさり別の相手と結婚しちゃったのね~、とは思ったけど。
 登場人物の死亡率が結構高めだなぁとも思いましたが、40年も経ったらこんなものかしら。
 いや~、一気に読めました。