読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

おせっかい屋のお鈴さん 堀川アサコ著 角川書店 2016年

 連作短編集。

 わたしを裏切ったら、きっと祟るわよ
 東北の都・仙台にある本当寺には、振袖姿のかわいい幽霊・お鈴さんが住んでいます。
 お鈴さんは大きな呉服屋の一人娘。ある未練を残して17歳で死んでから、かれこれ160年も浮世をさまよっているのです。
 一方、父の墓参りにやってきた地元の信金勤めの村田カエデは、うっかりお鈴さんの墓石に蹴つまずいたことから「奉公人」に指名され、手足となって働くことに…。
 振袖少女&平凡女子、時代超越のコンビのほっこり事件簿!              (帯文より)

第一話 うらめしや
 2歳から会っていない父親が死んだらしい。父の最期を看取った看護師が、父親の最後の手紙を寄越してきた。仕方がない、と手紙にあった菩提寺に墓参りに行った村田カエデは、そこで振袖姿も可愛らしい少女の幽霊に出会う。その少女はお鈴と名乗り、自分は160年に死んだのだが、その時に許嫁の自分を裏切って違う女と駆け落ちした恋人が許せないと言い、カエデに「子孫を見つけてこい」と無理難題を言いつける。どう考えても無理だと思うカエデの目の前に、お鈴の許嫁とそっくり同じ名前の男が現れた。しかも奥さんの名前も駆け落ち相手と同じらしい。臨月も近く幸せいっぱいそうな二人の様子に、カエデは悩んでしまう。

第二話 彼女の恋は
 お鈴のいる本当寺の近くで貸本屋を営んでいる室井泰平は、十年前妻に先立たれ、以来お鈴が見えるようになった。八十歳になった今、息子・健司から店をたたんで老人ホームに入るよう勧められてしまった。だが健司には健司の屈託がある様子、会社の若い女の子に鼻の下を伸ばしていたのが、奥さんにばれて不興を買ったらしい。実際職場の女の子・坂田あおいは健司を歯牙にもかけず、別な男に入れあげていた。どうやら結婚詐欺らしいと気づいたお鈴は、カエデに命じて彼女の目を覚まさせようとする。

第三話 親友だよね
 カエデの幼馴染・中山千佳は小学校の先生になっている。ある日、彼女の教え子が車に轢かれて死んでしまった。責任を問われ引き籠った千佳は、日本人形と喋るような精神状態に。彼女を訪れたカエデの元にも、死んだ子供からのメールが届くようになってしまった。本当に教え子の幽霊がカエデ達を祟っているのか。

第四話 さよならのかたち
 信金勤めのカエデにお見合い話が来た。ちゃんと恋人もいるのに、お得意様の息子だとかで上司から圧力がかかり、断れない状況。仕方なく会ってみると、相手・滝本克彦は俳優志望を父親に反対され、このお見合いも無理矢理セッティングされたのだとか。東京の劇団に行くまでの時間稼ぎに協力してくれと頼んでくるだけならまだしも、カエデの父親は保険金目当てに殺されたかもしれない、などと言い出した。
 正直、顔も覚えていない父親に興味はない。しかし何だかんだで、カエデは死ぬ直前の父親について調べることになってしまう。…


 堀川さん、えらく新刊続きますね。
 お鈴がまだ幽霊だと気づいてない筈なのに、「調伏してくれ」と思ってしまうカエデにまず違和感を持ってしまいました。ストーカーと勘違いしている描写だったんですが、この言葉はなかなか出てこないと思うなぁ。
 面白かったのは『親友だよね』でした。それにしても、全体的にちょと無理がないかなぁ、と思う箇所もなきにしもあらず。カエデの恋人のこんちゃんは、本当にいい人でしたねぇ。
 お鈴さんはどうしたら成仏するんだろう。成仏できない本当の理由が最後に出てくるんだろうか。シリーズ化されるとしても収め方難しいかも、とちょっと思いました。