読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ダルメシアン 100と一ぴきの犬の物語  ドディー・スミス著/熊谷鉱司訳  文溪堂  1996年

 英国での出版は1956年。

 ロンドンにポンゴとミセスのダルメシアンの夫婦がいました。彼らと一緒に暮らすのはデアリーさんとその奥さん。
 ある日二匹と二人、デアリーさんたちのナニーは連れ立って散歩していて、奥さんのクラスメート、クルエラ・デ・ビルと出会います。クルエラはものすごい寒がりで、家の暖炉は赤々と燃え盛っているし、食事はコショウが効きすぎて辛いばかり、夏でも毛皮を身に纏っています。クルエラがポンゴとミセスを見て言うには「素敵な春物のコートになるわね」。…当然ポンゴたちは面白くありません。
 やがてミセスは15匹も子犬を産みます。子犬たちにミルクをやるのに、デアリーさんたちまで大わらわ。奥さんは丁度、子犬と引き離されてしまったばかりの雌のダルメシアン犬・パーディタを拾います。パーディタは乳母犬としてデアリー家に引き取られます。
 子犬たちもすくすくと育って、幸せ一杯のポンゴたち。所がちょっと目を離した隙に、子犬たちが連れ去られてしまいます。
 犬たちだけに通じる遠吠えの情報網で、子犬たちの行方を捜すポンゴとミセス。やがて、60マイル以上離れたサフォーク州の、通称地獄屋敷に子犬たちが捕まっていると分かります。そこはクルエラの別荘でした。子犬たちを救い出そうと、ポンゴとミセスは地獄屋敷に向かいます。
 レトリーバーに宿や食事を用意して貰ったり、年老いた貴族のスパニエルに招待してもらったり。人間の子供に石を投げられたこともありました。やがて、ネコのプッシィ・ウィローとシープドッグ大佐に導かれて、二匹は屋敷に辿り着きます。屋敷にはポンゴたちの子供以外に、沢山のダルメシアンが集められていました。その数、なんと97匹。
 まだ小さい子犬たちに長旅は無理、幸い体を大きくするために食事はきちんと貰っているので、もう少し経ってから逃げ出そう。そんな計画はあっと言う間に狂います。ポンゴとミセスを心配したデアリー夫妻が、新聞に広告を出したのです。さっさと殺して毛皮にする、と言うクルエラ。99匹の逃亡が始まりました。
 見張り兼世話係だったバダン兄弟の目を掠め脱出、ウシ小屋でミルクをご馳走になったのはよかったのですが、幌馬車のジプシーに閉じ込められそうになって道筋を変える羽目に。途中で泊めてもらうはずだった宿は火事にあい、食事も採れない。すすまみれになって目立つ斑点を隠し、闇にまぎれて強行軍、教会で一休み。クルエラに見つかりそうになりますが、丁度そこに停まっていた引越し用トラックに乗り込み、何とかやり過ごします。そのまま99匹はロンドンへ。
 クルエラの屋敷に乗り込んで毛皮のコレクションを滅茶苦茶にし溜飲を下げた後、99匹はデアリー家へ戻ります。デアリーさんたちはすすだらけの自分たちを分かってくれるだろうか、全員を受け入れてくれるだろうかと不安に思いながら。…

 ディズニーアニメの原作を読んでみようシリーズ二作目。…という訳でもないのですが。
 ダイアナ・ウィン・ジョーンズの『七年目の魔法』に出てきた本。この『七年目の魔法』と言う作品、一人の少女にとある男が本を贈り続ける、と言う本好きにとっての足長おじさんみたいな話でした。実は男が少女に薦めた本には一定の傾向があって、彼にはそれをヒントに自分の窮地に気付いてもらおうと言う意図があったのですが、これがラストよくわかんなくってねぇ; でも何故か面白い。
 この作品は、反対に女の子が作中で男に薦めたものです。『101匹わんちゃん大行進』に原作があるとはまるで知らなかったので、思わず図書館で探しましたが、当時(確か1995年)、原作本はまだ日本で出版されてなかったようです。後書きによると、その後の実写映画『101』を切っ掛けに翻訳出版されたみたいですね。
 アニメ版にしろ実写版にしろしっかり観たことはないのですが、パーディタがポンゴの奥さんじゃないのに驚きました。乳母犬だったのね~。ミセスがどうもポンゴより頭悪くて(笑)、ちょっと女性としてむっかり(笑)。デアリーの「奥さん」と「ミセス」がどうも頭の中でごちゃごちゃになったのは、これは私のせいですね(苦笑;)。デアリーさんが会計士だ、と言うのも初めて知りました。
 犬なのに妙に禁欲的で、そのあたりはいかにも人間臭い(笑)。最後の最後で残り一匹が出てくるのは、これ結構どんでん返しだと思ったのですが、映画では省かれてましたよね?…て言うか、パーディタをポンゴの奥さんにした段階で無理だな。
 それにしても、ダルメシアンが101匹…。どれだけ費用かかるやら;