短編集。
心変わり
同僚の樺島が行方不明になった。その寸前に不審な電話連絡を受けていた城山は、樺島のデスクを訪ねる。通常より低くなっていた椅子、そこからの眺め、目に着いた切り抜き。次々に導かれていくヒントは何を指しているのか。
同僚の樺島が行方不明になった。その寸前に不審な電話連絡を受けていた城山は、樺島のデスクを訪ねる。通常より低くなっていた椅子、そこからの眺め、目に着いた切り抜き。次々に導かれていくヒントは何を指しているのか。
骰子の七の目
月に一度の戦略会議、今日のテーマは「柱時計か腕時計か」。良識ある私たちが良識ある結論に達しようとした時、ふいに邪魔者が口出ししてきた。
月に一度の戦略会議、今日のテーマは「柱時計か腕時計か」。良識ある私たちが良識ある結論に達しようとした時、ふいに邪魔者が口出ししてきた。
忠告
ごしゅじんさまを救うため、飼い犬はおくさまの裏切りを手紙で伝えようとする。
ごしゅじんさまを救うため、飼い犬はおくさまの裏切りを手紙で伝えようとする。
協力
飼い猫がおくさまに伝えたのは、ごしゅじんの異様な行動。ごしゅじんがおくさまが夜勤で働いている間に、何かを庭に隠しているという手紙。
飼い猫がおくさまに伝えたのは、ごしゅじんの異様な行動。ごしゅじんがおくさまが夜勤で働いている間に、何かを庭に隠しているという手紙。
思い違い
コーヒーショップにて。犬を連れた男、英語で会話する外国人男性と日本人女性、同窓会の通知に驚く女性の二人連れ、外では道路工事。「私」はカウンターに陣取りながら、何となく女性二人の会話内容が気になっていた。
コーヒーショップにて。犬を連れた男、英語で会話する外国人男性と日本人女性、同窓会の通知に驚く女性の二人連れ、外では道路工事。「私」はカウンターに陣取りながら、何となく女性二人の会話内容が気になっていた。
台北小夜曲(タイペイセレナーデ)
Yは世界的な名声を得た映画監督だったが、十年前にアメリカで亡くなった。同業者のKは台北の街を彷徨いながら、Yの思い出を振り返る。最後の電話は何を意味していたのだろう。
理由
昼寝中の私の頭を踏み越えようとした散歩中の猫が、私の左の耳の穴に落ちてしまった。頭の中に響く鳴き声、これを止めるには…。
Yは世界的な名声を得た映画監督だったが、十年前にアメリカで亡くなった。同業者のKは台北の街を彷徨いながら、Yの思い出を振り返る。最後の電話は何を意味していたのだろう。
理由
昼寝中の私の頭を踏み越えようとした散歩中の猫が、私の左の耳の穴に落ちてしまった。頭の中に響く鳴き声、これを止めるには…。
二人でお茶を
ピアノのコンクールの日、僕の中の「彼」が目覚めた。夭折した彼が、僕の身体を借りてまた音楽活動を始めた。それは僕には畏れ多いほど嬉しいことだったが、無茶な身体の酷使は、また新たなリミット
を呼び起こした。
ピアノのコンクールの日、僕の中の「彼」が目覚めた。夭折した彼が、僕の身体を借りてまた音楽活動を始めた。それは僕には畏れ多いほど嬉しいことだったが、無茶な身体の酷使は、また新たなリミット
を呼び起こした。
聖なる氾濫
洪水の中に浮かんでいるピラミッドの写真から、「私」はその場の状況を見る。
洪水の中に浮かんでいるピラミッドの写真から、「私」はその場の状況を見る。
茜さす
奈良の古墳群から、無数の声が湧きあがる。
奈良の古墳群から、無数の声が湧きあがる。
やっぱり私、恩田さん好きだなぁ。
一昔前の少女漫画によくあったのですが、短編で一人の半生を描き切るような『二人でお茶を』や『私と踊って』、ふとした会話や残されたメッセージから相手の思惑を読みとる『心変わり』や『思い違い』、対となる『弁明』と『協力』(そう、猫はこうよね・笑)。『少女界曼荼羅』も軽やかで不思議なイラストのよう。エッセイのような独り言のような、自分の覚書のようでもある『死者の季節』も好きだなぁ。
カバーの下にあるという『交信』は、本屋さんに立ち寄ってこっそり読みました(←おいおい;)。「はやぶさ」ってのはどうも涙腺を刺激していけません。泣くような資格は私にはない、と思って我慢はするんですけどね。あれは、打ち上げからずっと注目していた人、見守っていた人にこそある資格だと思うので。それでもやっぱり、満身創痍で帰って来る姿はくるモノがありますねぇ。…それにしてもこの短編、文庫化の時はどうするんだろう。
恩田さんは長編の人だと思ってたんですが、今回二冊続けて読んだら、短編の方が私には面白かったっです。恩田さん、作風の幅広いよなぁ。
一昔前の少女漫画によくあったのですが、短編で一人の半生を描き切るような『二人でお茶を』や『私と踊って』、ふとした会話や残されたメッセージから相手の思惑を読みとる『心変わり』や『思い違い』、対となる『弁明』と『協力』(そう、猫はこうよね・笑)。『少女界曼荼羅』も軽やかで不思議なイラストのよう。エッセイのような独り言のような、自分の覚書のようでもある『死者の季節』も好きだなぁ。
カバーの下にあるという『交信』は、本屋さんに立ち寄ってこっそり読みました(←おいおい;)。「はやぶさ」ってのはどうも涙腺を刺激していけません。泣くような資格は私にはない、と思って我慢はするんですけどね。あれは、打ち上げからずっと注目していた人、見守っていた人にこそある資格だと思うので。それでもやっぱり、満身創痍で帰って来る姿はくるモノがありますねぇ。…それにしてもこの短編、文庫化の時はどうするんだろう。
恩田さんは長編の人だと思ってたんですが、今回二冊続けて読んだら、短編の方が私には面白かったっです。恩田さん、作風の幅広いよなぁ。