読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

舟を編む 三浦しをん著 光文社 2011年

 2012年本屋大賞受賞作品。
 ネタばれあります、すみません;

 玄武書房に勤める馬締光也。
 営業部では変人として持て余されていたが、人とは違う視点で言葉を捉える馬締は、辞書編集部に迎えられる。新しい辞書『大渡海』を編む仲間として。
 定年間近のベテラン編集者、日本語研究に人生を捧げる老学者、徐々に辞書に愛情を持ち始めるチャラ男、そして出会った運命の女性。個性的な面々の中で、馬締は辞書の世界に没頭する。
 言葉という絆を得て、彼らの人生が優しく編み上げられていく――。
 しかし、問題が山積みの辞書編集部。果たして『大渡海』は完成するのか――。
 言葉への敬意、不完全な人間たちへの愛おしさを謳いあげる三浦しをんの長編小説。
                                               (出版社HPより)

 ロシア民謡(だっけ?)『一週間』を連想するこのゴールデンウィーク
 一日目に冬物を洗って干して、二日目は畳んで積み重ね、三日目に箪笥にしまう。…一日でやってしまえや!ってなもんで。あとからぽろぽろ冬物の仕舞い残しが出て来るのは何なんでしょう、部屋の片づけもしなきゃいけないんですが、床に積み重なった本を横目に「…とりあえず見なかったことにしよう」。
 …ブックオフがGW期間中20%オフセール実施とかいうCM見て、胸ざわめかせてる場合じゃないんだよ、自分!
 で、現実逃避気味にこの作品に手を出したら、ぼろぼろ泣いてしまいました。
 松本先生、死んじゃうんだもんなぁ、これはずるいよ。でもそれより前に涙ぐんでましたけど。
 馬締が辞書編纂に取り組んでいくことで、周囲の人が幸せになっていく。それぞれが自分の居場所を認められ、やるべきことを見つけて行く過程はやっぱり涙腺に来ました。浦沢直樹『YAWARA!』でもこんな展開ありましたっけ、ベタな展開なんですけどね、まさしく王道な。でも皆に求められ、愛されてこそのスタンダードですもんね。
 香具矢さんがどうして馬締に惹かれたのかはちょっと急展開で分かんなかったですけど、でも中の一節にあったように、「思い入れのあるひとやもののよさを熱弁する姿は、鬱陶しく滑稽だけれど、どこか憎めな」かったんでしょう。
 三浦さんらしい捻くれた視線も健在。『こころ』の先生の遺書についての考察には目から鱗!でしたし。そうそう、「下駄箱」ってもう死語なんですね、知らなかった!
 装丁もいい。『大渡海』と同じなんですよね、濃い藍色に銀の文字、帆船と三日月に花布も銀、見返しはクリーム色。その場面を読みながら何度も装丁を確認して、でやっぱり泣いてしまいました。
 ついでというか、映画の方の配役も確認して、…あれ? 男性陣、ハンサム過ぎないか…?? 西岡がオダギリジョーとか松本先生が加藤剛とか、全然イメージと違ってたんですけど;; でもしをんさん、嬉しかったかも(笑)。