読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

キノの旅ⅩⅧ―the Beautiful World― 時雨沢恵一著/黒星紅白イラスト メディアワークス電撃文庫 2014年

 『キノの旅』シリーズ18冊目。
 ネタばれあります、すみません;

「牛の国」
 無人なのにただ牛を飼い、搾乳するシステムが動いている国。近隣の国は、ここに牛乳を貰いに来ると言う。

「草原の話」
 草原に立っていた看板には、「二百メートル先の木に吊るされた板をパースエイダーで撃って下さい」という文言が。果たして、キノがライフル『フルート』で撃ってみると…。 

「スポーツの国」
 5カ国の間で4年に一度、戦争の代わりにスポーツで争う、という国を訪れたキノとエルメス。思いの他観戦を楽しんで出国した後、キノたちは商人だと名乗る一行に出会う。

「止まった国」
 師匠たちが訪れたのは、医学が飛び抜けて発展した国。だが地上には乳牛がたむろし、地下には大量なベビーベッドに赤ん坊が眠っているのみ。戸惑う師匠たちに案内を務めた機械が、この国で開発された「不老の薬」について説明を始める。

「税金の国」
 火事にあっている豪邸の目の前で、近隣の家々の消火活動のみを行っている消防団。何故ならこの家の主は、防火税金を払ってないから。助けを求める家主を見て、キノは一つ策を思いつく。

「主食の国」
 チョコレートが主食の国で、キノは子供たちに余所の国について質問を受ける。

「チョコレートの話」
 草原の真ん中、ぼろトラックに放置されたチョコレートの山を見つけて不思議に思うキノ。どうやらバレンタインデーの風習がある国で、とある歌劇団に贈られたチョコレートらしい。

「遺産の国」
 シズたちが訪れた国は、近代的なビルが立ち並ぶ国。ただ一画、昔ながらの石造りの家並みが続く町は保護遺産に指定されていて、家を立て替えることさえできない。不満を持つ町の人々に、ティーが一つの提案をする。

「復讐の国」
 道端に倒れていた女性を、キノは助けなかった。女性は通りすがりの商人に拾われ、やがて内一人のお嫁さんになって、フォトに写真を撮って貰う。やがてシズたちは、住民全員が水源に入れられた毒で死んでる国に行きつく。そこに生きていたのは二人だけ、水源に毒を入れたと思われる女性と、彼女に銃を向ける夫の姿だった。

「お金の国」
 以前師匠が訪ねたことのある国は、掘り出した発掘品を各国のお金と取り替えていたという。興味を持ったキノは、その国を訪れてみることに。その国は今では、貴重になった昔のお金を、必要物資と物々交換していると言う。

「私の戦争」
 大国に支配された国で、従うふりをしながら、実は敵兵の暗殺に励んでいる男がいる。彼の目の前に、ある日キノと名乗る旅人が現れて…。

キノの旅の国」
 厳しいひと冬を過ごす間に、キノは身の上話を語って欲しいと要請された。映画産業が盛んなその国では、映画の題材に困っているのだとか。キノの話を元に作られた映画を、キノとエルメスは出国直前に見る機会を得る。…


 今回のあとがきは「頭のいい人には見えないあとがき」だそうで。…何だ、そのアンデルセン童話みたいなのは??(笑)。
 時間軸だったり地理的状態(多分)だったり、今回繋がってる話が多かったなぁ。相変わらず、思わずにやりとしてしまうようなオチの数々。「私の戦争」の主人公は、作者自身を揶揄してるのかしら、と勘繰ってみたり。このシニカルさが魅力ですよね。この作者の作品は、私には『キノの旅』シリーズが一番面白いような気がします。