読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

キノの旅ⅩⅢ―the Beautiful World― 時雨沢恵一著/黒星紅白イラスト メディアワークス電撃文庫 2009年

 『キノの旅』シリーズ13冊目。

 『嫌いな国』:とある国に移民の申請をしたシズとティーと陸。ティーと陸は認められたが、シズには
        許可が下りない。この国には人口調整があって、空きがないと移民が認められないとか。
        この国に不満を持つ男と出会ったシズは、住民登録を交換しようと持ちかける。

 『凄い国』:かつてこの国には、コーヒーの上に緻密な絵を描く細工があった。国内の何処でも見られた
       その細工は、今訪れても見られない。廃れてしまったその理由は。

 『生きている人達の国』:師匠と若い男が、焚き火にあたりながら話している。
       「俺達、いつ死ぬんでしょう?」その周りには…。       

 『この世界の話・b』:サバンナの中、傷ついて立てない子鹿に、サイの群れが近づいていた。

 『昔の話』:師匠と若い男が訪れたその国は、長い圧政のため革命が起ころうとしていた。
       政治家の亡命補助を依頼された二人は、トラックとグレネードランチャーを使って任務を遂行、
       その後その武器を民衆に売る。
       
 『家族の国』:離婚と同じように、家族を辞められる「離族」がある国。

 『違法な国』:たくさんの名作小説を生み出している国。ところがこの一年の間に、違法行為を描いた
        作品が出版停止になる法律ができていた。買い付けに来た他国のディーラーは途方に暮れる。

 『旅人の国』:シズ一行が出会ったのは、とある国の軍人・クロスさん。流行り病から彼らを救ってくれた
        旅人の故郷を訪ね、その家族に彼の死を告げるのが目的だと言う。町長に紹介された
        彼の家族とは、どうやら別人らしいと気が付くクロスさん。では、“彼”は誰なのか。

 『必要な国』:入国に厳しい審査があった国。入ってみると食事も宿泊も豪華でタダで、でもキノを
        四人の人物が襲ってくる。

 『この世界の話・a』:サバンナにて、食糧にするためキノは子鹿を撃つ。一発目で仕留めそこなって、そして…。

 『いろいろな話』:キノと師匠とエルメスと荷物持ちが、一緒に旅をする。
      意見の違う人を認めない「仲のいい国」、臓器を提供することになっている「与える国」
      シズと出会ったキノ達、シズの肩に取り憑いているおさげの女の子に気付いた師匠と荷物持ちは離れ、
      さらに「自分の国に戦争をしかけてくれ」と頼む政治家のいる国へ辿り着く「売っている国」
      旅に憧れる人々が旅に出て野垂れ死にしてしまう「都会の国」
      
 あとがきは 十三巻記念!「あとがきスペシャル企画」時雨沢恵一に質問しよう!

 百年後に本作品を読まれる方へ、と前書きされた13巻。
 相変わらず、レベルの保たれた作品ですね~。ここまで安心して読めるのは凄い。
 あとがきのインタビュー、「お金がないことは決して“不幸”ではありません。ただ、“不便”ではあります」は何か凄く共感しました。
 書きたい作品はまだまだあるとのこと、一歩離れてみる勤勉な態度は本当、作風通りですね。