読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

いとみち 三の糸 越谷オサム著 新潮社 2014年

 『いとみち』最終巻。
 ネタばれになってるかも、すみません;

 相馬いとも高校三年生。津軽メイド喫茶でのバイトも充実して、精神的な成長も著しい。漫画家目指して上京して行った福士智美の代わりに入ってきた妹・智春の指導も(勢いに任せてとはいえ)できたし、シャッター商店街を前に、自分が将来やりたいことも見えてきた。そのためには地元を離れた大学に進まなければならないことも心配の一つだが、祖父のハツヱは自分のことは大丈夫とばかり三味線の全国大会にエントリー、見事特別賞を獲った上、画像がネットにアップされて世界中にの話題をかっさらってしまった。
 上京してのオープンキャンパス見学では結局気後れし、その反動のように、帰りに立ち寄った仙台の国立大学に一目ぼれ。自分の進路を真剣に考えるうち、写真部の後輩・鯉太郎の、家族への蟠りも見えてくる。
 思うように行かない受験、滑り止めまで体調を壊して落ちてしまう。でもラストチャンスに向けて、いとは力を尽くす。…


 今までのようなバイト状況はあまり語られなかった一冊。いとちゃん、工学部かぁ。これは意外な進路でしたね。多少唐突なような気もしないではありませんが、だって今まで理数系が得意とか出て来てたっけ?? 音大とかは行かないんだぁ。
 次のバイトの子へのさり気ない導き方とか、いとちゃんの成長にちょっと感動。そう、大人になったねぇ。鯉太郎くんとの淡いやり取りとかもまぁ可愛いんですが、今回何より印象に残ったのはハツヱ祖母ちゃんでした。まぁ、ハツヱ祖母ちゃん、かっこいい…! ラスト、メイド服着てセッションなんて、その思い切りの良さは羨ましいほどですよ。そりゃ世界的大スターも訪問して来るわ。
 一応今回で『いとみち』は終わりのようです。三味線の糸にあわせて、三の糸まで。そうか、いとちゃんの三年間を描いた作品だったんだね。
 爽やかな作品でした。