『みをつくし料理帖』第二弾。
俎橋から――ほろにが蕗ご飯
俎橋に移った「つる屋」で、澪たちはふきと言う少女を下足番として雇い入れる。以来、澪が新メニューとして考えた献立が、神田「登龍楼」で先に供されるという事態が続いた。ふきを信じたい澪、しかし他に思い当る節はない。芳の助言もあり、澪はふきを責めず包み込むように対応する。
花散らしの雨――こぼれ梅
店の前で行き倒れた男は、極上の白味醂を持っていた。房州から来た留吉は、主人が工夫に工夫を重ねて作りだしたこの味醂を、何とか売り出そうとしているらしい。まず上方に売り込むことを提案する芳。後日、礼として味醂の絞り粕こぼれ梅が届けられ、澪はこれを野江と揃って食べた幼い日を思い出す。折も折、あさひ大夫がひどい刀傷を負った、と連絡が入った。
一粒符――なめらか葛饅頭
お運びとして働くおりょうの息子・太一が、麻疹に罹った。必死の看病に明け暮れたおりょうも、同じ病気に倒れてしまう。代わりに手伝いに来てくれた老婆おりうは武家文化に詳しく、また食べる人の心情を思い図る心持を語る。
銀菊――忍び瓜
胡瓜と蛸の酢の物に、手をつけない侍の客を不審に思う澪。理由が分からない澪に、小松原が武家文化の倣いを教える。代わりになる献立を考える澪。小松原の存在が、次第に澪の中で大きくなっていく。…