読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

夏天の虹 みをつくし料理帖  高田郁著 ハルキ文庫 2012年

 『みをつくし』シリーズ7冊目。
 ネタばれあります、すみません;

冬の雲雀――滋味重湯
 小松原に自分の思いを告げた澪。それは小松原との永遠の別れを意味した。小松原は全て澪の思う通りに、と別の縁組を決める。追い打ちをかけるように料理番付が発表され、澪はつる屋が番付表から姿を消したことを確認する。

忘れ貝――牡蠣の宝船
 料理番付に振り回されることなく、ただ客のために新メニューを作ろう、と心に決めた澪。そして出来上がった「牡蠣の宝船」は、余所の店からも真似されるほどの評判料理になった。だがその頃小松原の家に、輿入れの行列が入る。

一陽来福――鯛の福探し
 心労が祟り、澪の嗅覚が利かなくなった。匂いも味も判らなくなった澪の手伝いに、と種市は又次につる屋に来てくれるよう話をつける。 

夏天の虹――哀し柚べし
 澪の嗅覚が戻らないまま、又次がつる屋に通う最後の日を迎えた。その日の夜、吉原は大火事に見舞われ、あさひ大夫を助けに火に飛び込んだ又次はそのまま帰らぬ人となる。…


 …又次っていいオトコだったのか…!
 澪の周りって色んなタイプのハンサム勢揃いだったんだなぁ、と内容にそぐわない不謹慎なことをちょっと思ってしまいました。乙女ゲームみたいだなぁ、どの道筋(相手)を選ぶかでエンディングが変わる。
 いや、そんな場合ではなく。
 シリーズ中、おそらく一番の艱難辛苦が降り懸かった一冊。
 早帆が余計なことをしなければ、いずれ小松原と結ばれる未来もあったかもしれないのに、とちょっと思ってしまいました。でも決断したのは澪。こんなことにまでなるとは思わなかったにせよ。心ない客に「年増が男に騙された」とか言われているのが何だか辛かったです。…世間はこう見るんだなぁ。
 で、嗅覚を失った上に又次の死ですよ、澪にあさひ大夫の後顧を頼んで。前巻が、一応次々に幸せが舞い込む展開だったのに急転直下。
 ただ、結果、澪が吉原に見世を出さなかったことは正解だった訳ですね。それがせめてもに慰め、かなぁ。
 火事のために澪の嗅覚は戻りました。次巻に続きます。…でも予約者が170人待ちなんですけどね。いつ読めるのかしら;