結び草――葛尽くし
医師・源斉の言葉『食は、人の天なり』を胸に、一柳庵への誘いを断った澪。重陽、翁屋の吉原への引き移りの日、あさひ大夫の姿は一瞬衆目にさらされ、彼女が持っていた鼈甲球も評判に。同じ日、澪はつる家からも身を引き、持ち帰りのお菜を商う店を出すことにする。災難が続き、心身ともに疲れ果てている美緒の姿を目にして、澪は葛料理を御馳走することを思いついた。
明日香風――心許り
年始、一柳庵の座敷で見つかった忘れ物は、ご禁制の「酪」だった。一柳の柳吾は自身番にしょっ引かれ、佐兵衛は酪と聞いて蒼褪める。佐兵衛がかつて登龍楼に言葉巧みに巻き込まれ、工夫を凝らして密造したのが門外不出の酪だった。佐兵衛は自訴して柳吾を救い、登龍楼は取り潰しに。佐兵衛の身を救ったのは、小松原の口添えだった。
天の梯――恋し粟おこし
摂津屋が澪を訪ねてきた。姿を見られたあさひ大夫の錦絵が出回り評判になっている、もう猶予がならない、と言う。気長に鼈甲球を売り捌いていても埒が明かないとの言葉に、澪は鼈甲球の作り方そのものを、翁屋に売る決意をする。… この作品は母も楽しみに読んでいて、図書館から借りてきたら大概私より先に読んでいるのですが、今回に限り一向に読み進んでいる気配がない。訊いてみると、
「そんな読み方したらあかんわ、って言われそうなことをしてん」
「…もしかして、ラストから先に読んだ?」
「うん」
「そらしたらあかんわ~」
「そんでね、大体思ってた通りの終わり方やってんけどね、ちょっと意外なこともあって」
「え?」
「みんなで大阪帰んねん」
「へえ~!!」
「…もしかして、ラストから先に読んだ?」
「うん」
「そらしたらあかんわ~」
「そんでね、大体思ってた通りの終わり方やってんけどね、ちょっと意外なこともあって」
「え?」
「みんなで大阪帰んねん」
「へえ~!!」
…ネタばれされたことを責めるより前に驚いてしまいましたよ。
みんなが納得する終わり方をする、とは聞いてたんですが、本当、見事な大団円っぷり。小松原さんとの関わり合い、前回ちらっと出てきた高麗屋淡路屋の番頭の息子、かつての江戸天満一兆庵の板前・富三の改心、全てが繋がってラストへ。登龍楼に初めて行った時の香り、とかの記述には、もう一回読み返さなきゃ、とつくづく思いました。前々から私が懸念していた「親友に身請けされること」に対する答えも堂々用意されていて、成程、と納得しましたし。
巻末に付いていた料理番付もこっそり嬉しい。張出大関の分かと思ってたらそうではなかったのね~。澪さん、大阪帰って四ツ橋に店を出すんだ(笑)。
いや、本当、気持ちのいい終わり方でした。
みんなが納得する終わり方をする、とは聞いてたんですが、本当、見事な大団円っぷり。小松原さんとの関わり合い、前回ちらっと出てきた高麗屋淡路屋の番頭の息子、かつての江戸天満一兆庵の板前・富三の改心、全てが繋がってラストへ。登龍楼に初めて行った時の香り、とかの記述には、もう一回読み返さなきゃ、とつくづく思いました。前々から私が懸念していた「親友に身請けされること」に対する答えも堂々用意されていて、成程、と納得しましたし。
巻末に付いていた料理番付もこっそり嬉しい。張出大関の分かと思ってたらそうではなかったのね~。澪さん、大阪帰って四ツ橋に店を出すんだ(笑)。
いや、本当、気持ちのいい終わり方でした。