読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ひなこまち 畠中恵著 新潮社 2012年

 『しゃばけ』シリーズ最新作。
 櫓炬燵に紛れ込んで若だんなの元に届いた木札一枚。そこには『お願いです、助けて下さい』の文字。この札を送って来たのは誰か。

 ろくでなしの船箪笥
 七之助の上方の祖父が亡くなった。形見分けで七之助の元に送られて来たのは船箪笥、ところが何故か引き出しが開かなくなっていた。がめつい親戚は中味が確認できるまで船箪笥は渡さないと言う。やがて起きる怪異の数々、祖父曰く「ろくでなし」の船箪笥には、何か秘密があるのか。怪異なら若だんな、と七之助が訪ねて来る。

 ばくのふだ
 本島亭場久と言う名の噺家の怪談話が、このごろ江戸で話題になっている。大勢の取り巻きを連れて若だんなも寄席を見物、すると話が盛り上がった所で一人のお侍が場久に斬りかかってきた。江戸のあちこちで起きる悪夢ともいうべき怪異も気になる。場久やお侍に関わりがあることなのか。 

 ひなこまち
 人形問屋平賀屋が、雛小町を選んでその娘をモデルに雛人形を作る、と言う。さる大名宅に納品することが決まっているから、雛人形が気に入られたら、娘も側室として呼ばれるかもしれない。美しく着飾りたい娘、着飾らせたい親の意向で、古着屋が大繁盛。だがそのうち、着物を盗んで古着屋に売るという不届き者も現れた。屏風のぞきや仁吉まで騒ぎに巻き込まれ、古着屋の娘・於しなを助ける羽目になる。

 さくらがり
 みなで上野の広徳寺にお花見に行くことに。関東河童の大親分・禰々子も顔を出し、若だんなに河童の妙薬を数種類プレゼントする。同時期、寺に詣でていた侍の安居は偶然話を聞き付け、中の惚れ薬を欲しいと言いだす。何でも奥方・雪柳の気持ちを知りたいのだとか。

 河童の秘薬
 雛小町選びは困難を極め、娘たちに何の関係もない若だんなが選者になることになってしまった。そんな若だんなを、雪柳が訪れる。前回貰った河童の秘薬、人にはどんな薬効があるかわからない人生を賭けて飲む丸薬を飲んだのだとか。なのに何も起こらない。若だんなに話を聞きに来た雪柳の前に、芥子坊主頭の幼子が現れる。しかも通りすがりの獏は、これは誰かの夢で、若だんなたちはその中に迷い込んでいると言う。…


 うん、相変わらずのんびりゆったり可愛いお話。
 お話としては、先が読めてしまうものが多かったんですけどね、でもまぁこのシリーズは謎解きを楽しむのがメインではないかな、という気もしますから。
 今回もごはんやおやつが満載だったなぁ。妖にこれだけ食べられても身代が傾かない長崎屋って凄い(笑)。