読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

またあおう 畠山恵著 新潮文庫 2022年

 『しゃばけ』シリーズ外伝。短編集。

 長崎屋あれこれ
 若だんながついうっかり、たとえ話で出した「具合が悪い」という言葉で、布団巻きにされてしまった。お馴染みのはなれに、両親は勿論、妖や天狗や僧侶や、神様までやってくる。

 はじめての使い
 戸塚の猫又が、若だんなを訪ねることになった。”きつね膏薬”を持ってとら次とくま蔵が東海道を行くことに。所が途中で、猫を捕まえている男たちに出会い、猫を逃がそうと紛争することに。やがてそれは長崎屋を襲う話にまで進展、とら次とくま蔵は長崎屋まで案内するよう強要される。

 またあおう
 つくも神にまでなっている古い絵双紙を、修繕のため長崎屋で預かることに。奔走する屏風のぞきや金次たち、ところがその絵双紙『桃太郎』の中に、屏風のぞきたちが取り込まれてしまった。しかもこの『桃太郎』、お話がどうも変わっている。

 一つ足りない
 九千坊河童は中国から日本にやってきた。九千匹の仲間と共に九州に落ち着いていたのに、猿に謀られて再び逃げ出すことに。噂に聞く関八州の親分河童禰々子を尋ねると、禰々子もまた騒動に巻き込まれていた。寝込んでしまうとてこでも起きない禰々子が誘拐されて、子分たちは右往左往。禰々子を攫った理由として、九千坊が中国から持って来た秘薬が関係しているらしい。

 かたみわけ
 ずっと後の話。広徳寺の寛朝が亡くなって、秋英が跡を継いだ。形見分けも済んだと思いきや、封印してあった怪異がらみの品も配ってしまったらしい。消えた品を探すうち、弟子の寛春が消えてしまった。怪異の品の一つに、地獄に引き摺り込まれたらしい。秋英は、仕事で留守の若だんなの代わりに長崎屋の妖たちに手助けを乞い、消えた品々を追う。…

 外伝、というだけあって今回若だんなは脇役、あまり出て来ません。若だんなの周囲の妖、かかわりのある妖の冒険譚、かな。
 ちょっと切ないのが「かたみわけ」、そうか、寛朝さんは若だんなより早く死ぬんだな~。それでも後を継ぐ者は出てきて、この世界は続いて行く訳ですね。まぁ若だんなはそうそう死なないか、兄やたちが守るだろうし。三春屋も無事にあるようですね。
 『赤毛のアン』シリーズの『アンを巡る人々』を何となく思い出しました。