読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

とるとだす 畠中恵著 新潮社 2017年

 『しゃばけ』シリーズ 連作短編集。

とるとだす
広徳寺の寛朝に、他の薬種問屋と一緒に招かれた若だんなと藤兵衛。所が、藤兵衛がその場で昏睡したまま、起き上がれなくなってしまった。何故か各薬種屋が勧めてきた滋養強壮の薬を、次々と飲んでしまったらしい。薬種屋たちが自慢の薬を、今日に限ってこぞって藤兵衛に勧めた訳は、そしてなぜ藤兵衛はそれらを一気に飲んでしまったのか。若だんなは妖たちの力を借りて、理由を突き止めようとする。

しんのいみ
江戸の海に蜃気楼が現れた。仁吉も佐助も自分たちに関係ないと高をくくっている間に、若だんなはその町を訪れてしまった。未だ具合の良くない藤兵衛の治療方法を知ろうとしての無謀、一旦蜃気楼に入ってしまうと、そこから抜け出すにはそこにいいる蜃気楼の主を見つけ出して、真の名前を告げなければならないという。雨が激しくなっていく中、若だんなは妖怪枕返しを見つけて連れ帰ろうとする。

ばけねこつき
小東屋の娘に化け猫憑きの噂が立ち、縁談が次々断られている状態だという。小東屋は若だんなに目をつけ、娘と結婚してくれないかと言い出した。持参金は小東屋に代々伝わる秘伝の妙薬、毒消し薬の“明朗”散。だが、若だんなには既に許婚がいるし、噂の出どころも不可解で気になる。貧乏神の金次と獏の場久が張り切って真相を調べようと言うが…。

長崎屋の主が死んだ
長崎屋の庭先に狂骨が出現した。狂骨は誰かを祟り、その縁者も全て呪い殺すと呟いている。その言葉通り、蝋燭屋や仏具屋、吉原に凶事が続いているらしい。狂骨は誰なのか、どうやら広徳寺の寛朝に心当たりがあるようだ。

ふろうふし
長崎屋を大黒天が訪ねて来た。常世の国にいる少彦名への伝言を頼みたい、ついでに若だんなの用事も頼んだらよかろう、というもの。少彦名は医薬の神、毒消しの薬のことも知っているかもしれない。兄やたちの心配を振り切って粟の穂に飛ばされて少彦名の元へ。だが行き着いた先は何故か神田明神で、若だんなたちは非時香菓(ときじくのかくのこのみ)をめぐり、神仙と人の子とのいざこざに巻き込まれてしまう。…


 出だし、長崎屋の主人 藤兵衛が寝込んでしまった理由に「はぁぁ??」
 いや、薬種問屋営んでる者がそれは駄目でしょう!?
 とは言え、蜃気楼が出て来たりするのは楽しかったんですけど。少彦名や浦島太郎が出て来た日にゃあ、日本神話や昔話まで範疇に入れるの??って少々驚きました。…そこまで広げるのかぁ。
 今までとはちょっと格が違ってきた感じです(笑)。