読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ガリレオの苦悩 東野圭吾著 文藝春秋 2008年

 ガリレオシリーズ、短編集。

 第一章 落下る(おちる)
 独り暮らしの女性が七階の自宅から落ちて死んだ。容疑者に上がったのは彼女と不倫関係にあった男、だがその時彼は一階にいたと言う。この距離を開けて女を突き落とす方法はあるのか、内海薫刑事が湯川準教授に相談に行く。

 第二章 操縦る(あやつる)
 湯川の恩師・友永の家の離れが炎上し、息子の死体が見つかった。親に借金を肩代わりさせ、義理の妹に手を出す放蕩ぶりにほとほと手を焼いていたらしい。数年前から車椅子生活だった友永に殺害は無理に思われたが、湯川は友永の研究成果を使えば犯行は可能だと知っていた。湯川の自首の勧めを、友永は突っぱねる。

 第三章 密室る(とじる)
 ペンションの泊まり客が、崖から落ちて死んでいた。何時部屋から出たのか判らない。ペンション経営者は、謎を解いて欲しいと友人の湯川に依頼する。ところがいざ湯川が本格的に調査を始め、夫人や義弟に聞き込みをすると、友人はやめて欲しいと言いだす。それでも湯川が辿りついた真相とは。

 第四章 指標す(しめす)
 その少女はダウジングで物事を決めると言う。老婦人が家族の留守中に殺され金品を奪われた、番犬代わりの犬も行方不明という事件の容疑者に、保険外交員の母親が上がっていると知った少女は、祖母譲りの水晶でダウジングし、犬の死体を見つけ出す。少女の能力は本物か、湯川に鑑定が依頼される。

 第五章 攪乱す(みだす)
 警察に、何者かから湯川への挑戦状が届く。現場職人を高所から落として殺した、続いて高速道路で事故を引き起こしたという犯行声明文、インターネットの掲示板での予告もあり信憑性も高い。犯行方法も判らないまま無意味にエスカレートする犯人の要求に、湯川は自分が囮になることを考える。…


 出版から4年も経つと、さすがに予約してもすぐ回って来るわね~。…という訳で読み損ねていたガリレオシリーズ、ここから内海刑事登場だった訳ですね。
 『落下る』で内海刑事が「ロウソクとロープを使って…」とか言い始めた時は、「それは絶対ないわ!」と思わす突っ込みましたよ。それで湯川先生心動かされるのか、とちょっと疑問にも思いつつ。草薙刑事が言い出したら絶対馬鹿にしてるって。…そんなことないかしら。
 『操縦る』の、恩師の心の裏まで読んだ展開は流石、と思いましたね。『容疑者Xの献身』を踏まえた上でのラストと言うか。『指標す』のダウジングの解説なんかはああなるほど、と納得しましたし。
 それにしても、湯川先生の大学時代の周りの人って、色々犯罪に起こしたり巻き込まれたりしてるよなぁ。