読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

世界の文学セレクション36 チェーホフ 中央公論社 1993年

戯曲
かもめ
 女優になる、と希望を抱いて家を出た娘。数年後、彼女はすっかり人生に疲れて帰って来る。それでも女優だ、と彼女をずっと慕う男の前で宣言する。

ワ゛ーニャおじさん
 妹の夫を信用して、援助を続けたワ゛ーニャ。今や妹は亡くなり、義弟は忘れ形見のソーニャの財産まで食い潰そうとしている。
 
三人姉妹
 家族の期待を一身に背負った兄は、三人姉妹から見てつまらない女に恋をし、俗物になってしまった。いい時代だったモスクワに住んでいた頃を懐かしむ三人。一人は女教師として自立し、一人は不倫をし、一人は望まない婚約をしている。

 没落貴族が最後の財産、「桜の園」を売る経緯。

小説
小役人の死
 上司の前でくしゃみをしたことを気に病む小役人。

嫁入り支度
 老いた母親が娘の為に縫物に精を出している。嫁入り支度だというそれは、何年か毎に状況が変わって…。

アニュータ
 医学部三年生と同棲している女・アニュータ。思いやりのない男の言葉に素直に従う。

物騒な客
 森蕃の二人の男が、夜更け、女の悲鳴を聞く。助けに行くか行かないか、言いあいになる二人。

ワーニカ
 三か月前、靴屋に見習いに出された少年が、酷い境遇を嘆いて祖父に手紙を書く。

接吻
 行軍の途中で寄った民家で、暗がりの中、間違って誰か女性のキスをうけた一人の将校の妄想。

ねむい
 子守をしている少女はとにかく眠い。一日中仕事に追われた上、赤ん坊の夜泣きに辟易している。

ともしび
 鉄道の詰め所で一緒になった技師が、学生に語った若い日の恋話。

六号室
 精神病棟の患者と、意気投合した医師。やがて彼は周囲から、彼もおかしくなったのだと噂される。
 
中二階のある家
 二人姉妹の、美しい妹に恋した男。彼の考え・価値観は姉とは常に対立し、妹は姉に逆らうことはない。

箱にはいった男
 堅苦しく、四角四面で陰気な男が恋をした。周り中が応援していたのに、彼は彼女が自転車に乗っていたことが気にいらない。

可愛い女
 自分の意見を持たない彼女は、好きになった男の意見をそのまま自分の考えとして口に出す。

犬を連れた奥さん
 リゾート地で出会った女性に、彼は恋をした。お互い結婚していて男には子供もいるのに、生まれて初めて本気の恋をしてしまった。

いいなずけ
 ナーヂャは婚約者と一緒になることに疑問を抱き、遠縁のサーシャの勧めるまま、故郷を、いいなずけの元を逃げ出してしまう。都会で学校に通い、新しい刺激を受けた彼女には、一年後再開したサーシャでさえ野暮ったく見えた。…


 三谷版『桜の園』を見て以来、もう一度読まなきゃなぁ、と思っていた作品。劇を見て結構すぐに借りていたのですが、予約本が次々来たりしてそちらを優先していたら、随分後回しになってしまいました。
 『桜の園』や『可愛い女』『犬をつれた奥さん』は一応、高校生の頃読んでいた筈なんですけど、すっかり忘れてしまっていましたね。『桜の園』以外の戯曲は初めて読みました。あ、『かもめ』は赤石路代さんの読み切り漫画で題材として取り上げられていたのを読んだことがあったので、内容は知ってました。
 三谷版『桜の園』を見ていて「こんなのあったかしら」と首を傾げた台詞が、ほぼあったことに驚きました。「まるで中学二年生みたい」とか本当にあったのね~。まぁ、コンセプトが「喜劇として上演する」ことなんだから、原文を大幅に変えてしまったりしていたら意味のない試みではあったので、忠実なんだろうな、とは思っていたのですが。
 でもやっぱり、ロシア文学はよくわからないわ; 遠い昔『戦争と平和』を遠い昔に読んだ時にも思ったのですが、作者の主張が前面に出ていて、お話の面白さが素直に伝わって来ないような;
 とにかく、働かなくても生活していける人々を苦々しく思ってようで。…そりゃハラ立つよなぁ(苦笑;)。
 解説に曰く、前半の主義主張のない時期の作品の方が、私には面白かったです。ああ、読むのに手こずったよう、やっと返せる;;