読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

和菓子のアン 坂木司著 光文社 2010年

 デパ地下の和菓子屋でバイトすることになった、ちょっとぽっちゃりさんの女の子を巡る連作短編集。
 
 和菓子のアン
 高校卒業後、デパ地下の和菓子屋「みつ屋」でバイトをはじめた梅本杏子。店長の椿はるか、学生バイトの桜井さん、唯一の男性(だけど乙女系)立花さんとシフトを組んで店に立つ。
 5月、「会社の上司に頼まれた」と季節のお菓子を買っていったOLが、最終日再び店に駆け込んできた。『兜』が九つ、『おとし文』が一つというアンバランスな買い物に首を傾げる杏子。店長がそこに隠された意味を見出す。

 一年に一度のデート
 7月。七夕の意匠に感激した女の子が、8月、再び七夕の和菓子を買いに来た。保存時間を気にする彼女に店長は、彼女の帰省先を類推する。
 お盆の頃、『松風』を買う常連の老婦人に、店長は違う和菓子を勧める。ここ数日は「一年に一度のデート」だと。

 萩と牡丹
 秋、一見ヤクザにも見える客が来る。不穏な言葉を使い、何だか杏子を試すよう。報告を受けて戸惑う店長の横で、立花が顔色を変える。どうやらその人物に心当たりがあるらしい。

 甘露家
 冬、クリスマスや年末。大学が忙しくなった桜井さんに代わって遅番にも入るようになった杏子。デパート閉店の様子が物珍しく、客層の違いにも驚くことばかり。売れ残りが少ない店長の仕入れにも感心した矢先、洋菓子ブースで大量にケーキを持って帰る従業員の姿を見かける。

 辻占の行方
 お正月。店のディスプレイにと、立花さんが持ってきた菓子木型に動揺する店長。季節物として売り出した辻占(フォーチュンクッキー)に不良品が出て慌てる中、訳の分からない記号が書いてあった、と言って来る客もいて、杏子たちは謎の解明に乗り出す。
 青空骨董市で何気なく買った中国流れの菓子木型は、店長に更なる動揺を引き起こす。あまりにもな偶然で、店長の元に帰ってきたことに。…


 するすると読み易かったです。いわゆる日常の謎は、ちょっと解釈が強引ではないかなぁと思ったりもしたけれど。普通に和菓子の紹介ばかり連ねてもよかったんでは…。
 紹介されている和菓子はどれも美味しそうに描写されていたんですが、でもやっぱり、高級和菓子はねりきりがメインで、味の変化があまりないような気がするなぁ、ごめんなさい;  私は大福とかよもぎ団子、桜餅(道明寺粉を使った方ね)みたいな庶民的な和菓子が好きです。そして寒天より断然ゼラチン。舌の上でとろけてくれないと!
 紋の描写はちょっと分かりにくかったです。連載時には絵もついたのかな、野間美由紀さんがイラスト描かれたみたいだし。単行本でもちょっと載せてほしかったですねぇ。