読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

“文学少女”と恋する挿話集(エピソード)4 野村美月著 ファミ通文庫 2011年

 “文学少女”シリーズ、番外編短編集第4弾。

 心葉先輩に『銀河鉄道の夜』の珍解釈を披露する日坂菜乃。でも読み返すうちに気付いた言葉が、心葉の心に響く :『“文学少女見習いの、発見。』

 一年生の文化祭時。遠子先輩から「柿の葉で包んだお寿司」『堤中納言物語』になぞらえて聞いたのは、バレー部の先輩の話。女子に人気で「藤の君」と呼ばれ、遠子先輩も可愛がって貰ったのだとか。心葉には何故だか面白く響かない恋愛譚、今日はその先輩も遊びに来ると言う。 :『“文学少女”と物思ふ公達(ノーブル)』

  裏庭で、ぴょこん、ぴょこんと飛び跳ねる遠子先輩を見かけた心葉。謎の行動を起こした後も、遠子先輩は部室で魚介のサラダ『かもめのジョナサン』を読んで、アスリート・ジョナサンに想いを馳せる。 :『“文学少女”の今日のおやつ ~『かもめのジョナサン』~』

 登校途中、鳥の死骸を見て立ちすくむ心葉。以来、高校に行けなくなってしまった心葉を、遠子先輩が迎えに来る。部室で語ったのは「果実の甘みだけで作ったアイスキャンディ」アンデルセン童話の『最後の真珠』を語る :『“文学少女”と幸福な子供(チャイルド)』

 部室にあった薔薇の指輪が抜けなくなってしまった遠子先輩。生徒会長の速水さんとのやり取りの中、心葉にはどうも速水さんが遠子先輩を気にしているように見えて仕方がない。しかし遠子先輩はまるで気付かず、速水さんに想いを寄せているらしい畑中さんとの仲を取り持とうとしている。そのどたばた、すれ違いぶりは「薔薇色のマカロンでライチやフランボワーズをサンドしたケーキ」『ばらとゆびわ』にも似て…。 :『“文学少女”と騒がしい恋人たち(ラヴァーズ)』

 麻貴にこっそり、自分の不安定な気持ちを打ち明ける遠子。薔薇の指輪をこっそり預けて行く。 :『アトリエの内緒話』

 心葉の妹・舞花は大のブラコン。でもそれを友達に笑われたくなくて、とっさにクラスメイトの大西君の名前を出す。それが二人がお互いを意識し始めた切っ掛けで…。 :『不機嫌な私(ガール)と檸檬の君(ボーイ)』

≪それぞれの想い≫
 美羽~戸惑いながら一歩ずつ
  一詩に対して素直になれない美羽。心葉と比較するような発言をして落ち込んで、『たけくらべ』に自分を重ねてしまう。

 ななせ~天使へのコール
  パリのオペラハウスへ、ななせは天使の歌声を聴きに行く。夕歌宛にメールを送るななせ。いつか、天使その人と会いたいと思いながら。

 蛍~嵐のあとの陽の中で
  十四歳で、麻貴の娘・蛍は父親を亡くした。いつも自分を苦しそうに見る父に、自分は嫌われているのではないかと恐れる蛍。どうやら蛍は、かつて父が愛して結ばれなかった少女に似ているらしい。 

“文学少女”の気持ち≫
 深く繊細な味わいの鱧の落とし『桜の森の満開の下』を読んだ翌日、桜餅と白酒を持って花見の用意をする遠子先輩。 :『“文学少女”の今日のおやつ ~『桜の森の満開の下』~

 シュークリームを作るため、何度もシュー皮を焼く遠子の様子を描いた :『シュークリームの秘密』

 寮の先輩に、パソコンを教わる遠子。試しに打つのはタゴールの詩『百年後』。太陽のように輝くマンゴーとすっきりしたラッシーの味。彼女は恋をしているらしい :『“文学少女”の今日のおやつ 特別編~『百年後』~』 …


 可愛らしかったり、切なかったりする日常を描いた短編集。
 表紙が美羽だということに、あとがきを読むまで気付きませんでした; 中学の頃の美羽って、こんな感じだったのかぁ。
 今回は読んでた本もありましたね。あ、でも『嵐が丘』や『たけくらべ』は『ガラスの仮面』の劇中劇で見ただけか(笑)。
 『ばらとゆびわ』は読んでみたくなりましたね~。こういう、いわゆる「家庭小説」は元々好きなので。しかも訳が村岡花子さんてのがね、『赤毛のアン』ファンにはたまりません(笑)。
 次巻が最終巻とのこと、『半熟作家と“文革少女”な編集者(ミューズ)』って新シリーズだと思ってた! それなら読まなきゃなぁ。