“文学少女”シリーズ、番外編短編集第三弾。
モチーフは「お花で作ったお酒」みたいな泉鏡花の『歌行燈』、。
麻貴先輩の別荘に来た遠子に「ゆり様」を重ねる紗代。呼ばれて遅れて来た心葉と出会い、遠子の想いが流れ込むように心葉を意識しはじめる。…『“文学少女”と恋しはじめの女給(メイド)』
麻貴先輩の別荘に来た遠子に「ゆり様」を重ねる紗代。呼ばれて遅れて来た心葉と出会い、遠子の想いが流れ込むように心葉を意識しはじめる。…『“文学少女”と恋しはじめの女給(メイド)』
聖条学園の文化祭で、水戸夕歌は毬谷敬一と出会った。『蝶々夫人』の一節を口ずさみながら、夕歌と敬一は惹かれあう。敬一が歌をやめた経緯には、不安なものがあったけれど。…『傷ついた紳士(テノール)と穢れなき歌姫(ソプラノ)』
古いビルの空き室で、声楽の練習をする新田晴音。『さまよえるオランダ人』の中の『糸紡ぎの歌』を歌っていると、そこにいた浮浪者に欠点を指摘される。彼の指導のままぐんぐん上達する晴音。ヒロイン・ゼンタ役に選ばれた日、晴音は浮浪者の正体を知る。彼が殺人者だと分かり動揺しながらも、晴音は彼を救いたいとゼンタのまごころを歌う。…『卵の歌姫(ディーヴァ)と彷徨える天使(エンゲル)』
流人と麻貴の子供を幸せそうに見守る遠子。その様子は、幼い頃の流人の記憶と重なって…。…『遠子おばタンの秘密』
私立の女子中学校に馴染めない仔鹿里佳を、教師・竹田千愛はうるさく構う。仔鹿にようやく出来た校外の友人は、仔鹿に援交を強要する。待ち合わせ場所に現れたのはハンサムだけど見るからにチャラい、ノグチと名乗る青年。仔鹿が持っていた『ライ麦畑でつかまえて』を「缶入りのトウモロコシを、銀色のスプーンですくって、何度も何度も何度も何度も、口へ運ぶような話」だと例える。…『迷える仔鹿(バンビ)と嘘つき人形(ドール)』
仔鹿はとりあえず、クラスメイトに笑顔で話しかけることから始めた。そのうち、里佳の下駄箱にラブレターを入れてくれる人物が現れる。『ティファニーで朝食を』が愛読書で、仔鹿に憧れると書いた差出人は、どうやら同じクラスの堀井彩世らしい。なのに、堀井はそのことを否定する。赤ん坊が嫌いだと逃げ出す堀井を仔鹿と竹田千愛が追う。…『頑張る仔鹿(バンビ)と臆病な旅行者(ホリー)』
流人の息子・悠人に会って、動揺する千愛。大好きな流人の子供でも、愛せなかったらどうしよう。そんな自分でも、生徒を救うことはできるのだろうか。…『道化(ピエロ)のつぶやき』
千愛が教師になった、というのは意外でした。例えば商社のOLとか、そういう職種に就くような気がしていたので。(←商社のOLにどういうイメージを持っているんだ;) そう、例えばこれがいっそのこと看護師さんとか保母さんとかの方がイメージしやすかったかもしれない。何だかんだ言いながら冷静に物事に当たって行きそうだし。ただ、ラストでは千愛にも救いができた様子。それはよかったね、と思います。感情の欠落に悩むなら、その自覚があるならそれなりの対処ができるよね、と言うことで。