読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

真夜中の探偵 A midnight detective 有栖川有栖著 講談社 2011年

 全ての探偵行為が禁止された、「もう一つの日本」を舞台にしたシリーズ2作目。
 …ネタばれになってるかも、すみません;

 平世22年。
 父親が逮捕され、空閑(そらしず)純は叔父一家の住む大阪で独り暮らしを始めた。本屋と便利屋のバイトで糊口を凌ぐ毎日、やがて父親の指名で弁護を依頼した森脇貞雄を通じて、父母に事件を依頼していた仲介屋・押井照雅と知り合う。行方不明の母の手がかりを尋ねるが、結局何も分からないまま。矢先、押井の京都の別宅で変死体が発見された。
 水の入った手製の木製の棺桶の中で溺れ死んでいたのは、かつて探偵稼業をしていた男・砂家、通称<金魚>。棺桶は外から釘で蓋をされていた状態で、水を注ぎ入れるような小穴はない。砂家は廃業以前、押井の仲介で、五人の女性の殺害に関わる「呪術連続殺人」を調べていたらしい。
 警察の捜査網の中に、いやでも純も入ることになる。純は反対に、自分がこの殺人トリックを解こうと思い立つ。一人前の探偵になって、母親の行方を捜すためにも。
 金持ちの四男坊、道楽で依頼人と探偵との仲介をやっていた押井、その仲間の真行寺と花隈、家政婦の梅沢、運転手の常田、お手伝いの斉藤康子。純の隣人の三瀬は反政府運動・分断促進連盟の一員らしい。一人で現場を見に行くという無茶をして、純はそのトリックを見破る。…

 色々馴染みのある駅名が出て来て、何となく嬉しかった一冊。
 装丁きれいでしたね~、側面が青色に塗られてて。手に取った瞬間、「おっ!」と嬉しくなりました。
 このシリーズって、本当に本格だったんですね。(←かなり失礼;)
 いや、蓋をした順番とか鑑識で判るんじゃないかなとか、倒れた時によく棺桶壊れなかったなとか、思う所はあったのですが、それはさておき。トリックを解いてそれができる人物と言えばあの人しかいない、とかいう展開はやっぱりわくわくしますよ。
 前作でよく分からなかったのが、探偵業が法律で禁止されている理由だったんですけれど、今回の説明でそれもすっきりしましたし。なるほど、警察が隠しておきたいことまで暴いちゃうからなのね~。
 純の叔母への「こちらから甘えたとたん、うとまれそう」という表現には、有栖川さん凄い、と素直に思いました。これで叔母さんの人物像が浮かんでくるもの。
 お母さんの朱鷺子さんの行く先が何となく示唆されたラスト。ブラキストン・コンフィデンシャルとは何なのか。次は舞台が福岡に移るようですね、でお母さんを追いかけるなら、4冊目で最後になるのかな。でもこの社会情勢が変わるとは思えないし、どういう展開になるのかしら。
 次巻は来年2月のようです。