読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

NO.6〔ナンバーシックス〕#9  あさのあつこ著  講談社  2011年

 『NO.6』、シリーズ最終巻。
 ネタばれあります、すみません;

 瀕死のネズミを抱え、矯正施設のダストシュートから逃げ出す紫苑。出口で待っていてくれたイヌカシ、力河と再会を果たす。ネズミの治療を、と市民が蜂起して混乱するNO.6の中へ、馴染みの医者の元へ急ぐ。ネズミが手当てを受けている間に、紫苑は老から預かったチップを読み、エリウリアスの正体を知る。
 「エリウリアス」――ハチの姿に似た高等生物。かつてこの地に住んでいた“森の民”が神と人との間にあるものとして崇めていたもの。人間に卵を産みつけることで増殖し、寄生された人間はその意識のないままにエリウリアスに支配される。NO.6の上層部はこの力を応用しようとして失敗した。
 ネズミは“森の民”の生き残りで、その歌でエリウリアスと交感する力を持つ。エリウリアスの寄生先を人間ではなく、自分達が作った“神の寝床”へ誘導できる。
 暴動の中、紫苑とネズミはNO.6の市庁舎『月の雫』へ向かう。ネズミはエリウリアスを鎮めるために、紫苑はエリウリアスと語らうために。…

 何とも懐かしいテイストのお話だったなぁ、というのが全編通しての感想。今回出て来た看護ロボットの描き方とか、懐かしいと言うか古臭いと言うか(←すみません;)。
 私が学生の頃ってこういうSF作品、「管理された世界」みたいな話がどの漫画雑誌にも一作は載ってた気がします。あの頃なかったのはいわゆる萌えと言いましょうか、紫苑とネズミの関係かな。「さぁ、妄想して頂戴」と言わんばかりにさしだされても、ねぇ(苦笑;)。
 エリウリアスの正体を自然に頼ってしまったあたりが、私の中でちょっとしっくり来ませんでした。元々そういう習性のある昆虫を、改良していくうちに人間がしっぺ返しを食らってしまった、の方がこの世界ではよくなかったかな。この作品の中のSFとファンタジーの割合が、どうも私の中で上手く混ざらなくてですねぇ。
 とにかく、一気にカタが付いた最終巻でした。