読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

たのしい川べ ケネス・グレーアム著/石井桃子訳 岩波少年文庫 2002年

 英国での出版は1908年、挿画は1931年からE・H・シェパード。

 春の陽気に誘われて川べに出たモグラは、そこで川ネズミに出会います。
 楽しくボートで遊び、夏にはヒキガエルの屋敷を訪ね、冬は雪に降り込められて人格者のアナグマの家に避難します。
 新しいもの好きのヒキガエルは自動車に夢中、そのために警察にやっかいになっても反省の色はなし。とうとう洗濯女の変装をして脱獄することに、でもやっぱりその高慢ぶりは変わらない。そんなヒキガエルにも、友情を持って接するネズミたち。
 小さな動物たちが自然の中で繰り広げる微笑ましい事件の数々を、詩情豊かに描いた田園ファンタジーの名作。

 そう言えば読んだことないなぁ、と借りて来た一冊。
 すごいなぁ。こういうお話を、イギリスでは大人の男が書く文化があるんだなぁ。…と思っていたら、どうやら当時でも異質だったようで。出版になかなかこぎ着けなかった、みたいなことが最後の「訳者のことば」にあって妙に納得しました。
 小さい頃に読んでおけばよかった。今読むと、どうも世界観の掴み方でまず戸惑ってしまう。え、大きさの比率は?とか、テンやイタチとネズミは天敵同士だよねとか、人間とのスタンスは、とか余計なことを考えて、なかなかすんなり話に入り込めなくてですね; 途中出てきたアナグマの家の説明に、人間が滅びた後、動物たちが進化して…とかいう情景が一瞬浮かびました。でも人間滅んでないんですよね、後半わさわさ出てくるし(笑)。
 でも、小さい頃なら普通にそのまま楽しめた筈、しまったなぁ。裏表紙に「小学4・5年以上」と書いてありましたが、もっと小さい頃の方がいい気がする。
 ここから『くまのプーさん』や『ピーターラビット』が出て来たんだろうな、としみじみ思いました。脈々と受け継がれてるなぁ。『ふくろねずみのビリーおじさん』とかにも繋がるのかも。
 挿絵も好きです。さすが、シェパード。