読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

木練柿 あさのあつこ著 光文社 2009年

 『弥勒の月』『夜叉桜』に続くシリーズ三冊目。連作短編集。

 楓葉の客
 遠野屋で若い娘が万引きを働いた。家の借金のカタに、好きでもない男の元に嫁がされるのが嫌で、愛想を尽かされるよう盗みを働いたのだと言う。同じ頃、若い男が刺殺体で見つかった。懐には「おみつさま」への手紙、同心の小暮信次郎はそれを口実に遠野屋へ向かった。遠野屋の女中頭おみつは意外にも男を知っていた。以前おみつが嫁いだものの、子ができないからと離縁されたお店で働いていた小僧だと名乗って、この間から近付いて来ていたと言う。
 その日、娘は迎えに来た父親を帰らせて、遠野屋に泊まった。信次郎はこの出来事に繋がりを見出す。

 海石榴の道
 帯を扱う三郷屋の吉次は遠野屋達と組んで、トータルコーディネイトの催しをしようと意気込んでいた。一度は頓挫したこの計画に集中するため、馴染みになった女に別れを告げようと女の家へ向かう。そこで女が首を布で絞められて死んでいた。下手人として引っ張られた吉次を救うべく、遠野屋が動く。

 宵に咲く花
 おけいは小さい頃から夕顔の花が怖い。定食屋『梅屋』に嫁いで幸せな生活を送っていて暫く忘れていたのだが、神社の境内の中、恐怖で動けなくなってしまった。絡んできた男達を追い払ってくれた遠野屋に、おけいは、その昔夕顔の下に死体が転がっていたのを見た、それを思い出したと言う。それを聞いた信次郎は別の真相に気付く。

 木練柿
 遠野屋の娘・おこまが攫われた。だが目撃者が見つからない。遠野屋の過去の仕事なり身代金なりを強請るつもりならとっくに脅迫状が届いている筈、ならばおこま自身に利用価値があるのだろう。信次郎は目撃者がいないことを逆手に取って、真実に近づく。…

 …やっぱりあさのさんの文章は饒舌だなぁ。
 私には少々寄り道が多い気がして仕方がない。会話の内容とか直接関係ないこと、余計なことが多い気がして、ちょっと読み飛ばしてしまう。キャラクターを膨らませる重要な手段、と言えばそうなんでしょうけど、何かくどい気がしてしまう。
 話は面白いんですけどね。これは好みの相違なんだろうなぁ。