読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

あきない世傳 金と銀 十二 出帆篇 高田郁著 2022年 角川春樹事務所

 シリーズ12冊目。

 五鈴屋の属する浅草太物仲間が、呉服も取り扱おうと町奉行所に願い出た。許しが出るかどうか、待つ間にも幸は算段を整えて行く。かねてから考えてあった「家内安全」の図柄の小紋に本格的に取り組み、その様子は菊栄を感化する。菊栄は笄に着眼、デザインを施そうと試作品を作り、また自前の店舗を持つという目標を新たにした。
 年明けの申請から梅雨時になって、漸く町奉行から帰って来た返事は冥加金千六百両を差し出せというもの。仲間と分けるにしても莫大な負担金を、幸は以前に上納した幕府への貸金千五百両と相殺し、冥加金を値切ろうと申し出る。
 いよいよ絹物も扱えるようになった五鈴屋。呉服切手を考え出し、仲間との間での融通も工夫、贈答用として喜ばれた。旗本との縁もできかけて嫁入り支度を用命されたが、これは音羽屋に横取される。だが、それにもかかわらず、たまたま大坂から得ていた日蝕の日取りの懸念を伝えていた誠実さが買われ、他の武家からの引き合いも増え始めた。
 歌舞伎役者菊次郎からは弟子の吉次の為の新色を依頼され、商売繁盛はしているが、昔通りのきめ細やかなサービスには、人手不足もあってなかなか追いつけない。ジレンマを抱える中、吉原の大文字屋市兵衛から「衣裳競べ」への参加を打診された。幸は、以前から馴染みのあった芸妓 歌扇をモデルに、衣裳競べに参加することを決意する。歌扇は、年季を明けた後も吉原に残り、芸の道で身を立てようとしている女だった。…

 ようやく再出発が叶いました。アイデアも次々出てきますね、呉服切手はともかく幕府への上納金も伏線になるとは思わなかった。
 賢輔への縁談も持ち込まれましたが、五鈴屋の跡取りになる身だとして断ります。…これ、どうするのかしら、幸と結ばれる訳ではないだろうし。幸にも色々不愉快な申し出はあるみたいで、女手一つで江戸を渡るのは大変だ(ふぅ)。菊栄さんがあっけらかんと後ろについてくれてるのは大きいんだろうなぁ。
 男社会で苦労している者の仲間として、歌扇さんが出てきました。どうやらタッグを組む様子、ちらっと出て来た「孫六」とかいう織物が役に立つんでしょうか。
 次巻に続きます。