読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

銀の枝 ローズマリ・サトクリフ著/猪熊葉子訳 岩波書店 1994年

 英国での出版は1957年。
 四部作の二作目。

 ローマ帝国に陰りが見え始めたブリテンにて。
 ジャスティンは見習いの軍医としてカロウシウス皇帝に仕えるため、ブリテンの地に降り立った。フラビウスという遠い親戚でもある良き友と巡りあい、医者としての腕も磨いて充実した毎日を送っていたが、ある日、カロウシウスの右腕ともいえる男・大蔵大臣のアレクトスがサクソン人と密会する現場を見てしまう。サクソン人を捕まえ、アレクトスの裏切りを告発しようとするジャスティンとフラビウス。だが証人のサクソン人は牢で殺され、皇帝は二人の警告を退けた。代わりのように二人は、マグニスへの赴任を申しつけられる。栄転のようなその采配に疑問を抱きつつ、二人は揃って第二アウグストゥス軍団第八歩兵隊へ赴く。
 マグニスでフラビウスは着々と部下の信頼を得、またジャスティンはオオカミの噛み傷を治療した繋がりで、氏族の狩人・槍のエビカトスと親交を結ぶ。この地でもまた二人は、アレクトスがカロウシウス帝を倒すため、氏族に協力を依頼したと言う情報を手に入れる。もう一度皇帝を助けよう、と書いた手紙は敵方に奪われ、二人はエビカトスと共に逃亡の旅に出る。
 途中でカロウシウスの死を知る二人。ゴールに渡ってコンスタンティウス帝に状況を知らせ、カロウシウスの仇を取ろうと考えた。だが商人ポウリヌスに出会い、彼に習って打倒アレクトスの仲間を集めたり逃亡を手助けをする手伝いを始める。
 その日、アレクトス一行がこの地を訪れた。騎馬行進の最中、アレクトスに諫言する若者を見て声をかけたジャスティンは、傭兵たちに隠れ家を見つけられる。ポウリヌスの犠牲を代償に、ジャスティンたちはフラビウスの実家に逃げ込み、そこの床下に隠されていた青銅製の「第九軍団のワシ」像を見つける。
 コンスタンティウス帝が軍団を引き連れてレグナム港の海上に現れた時、フラビウスとジャスティンを中心に集まった烏合の衆が旗頭に持っていたのはこのワシだった。正式にアスケルピオドトス司令官の軍に配属され、軍団はアレクトスと対峙するべく進軍を始める。…
 
 …後をつけられて尻尾を掴まれる、もしくは掴むことの多い話だなぁ。このパターンばっかりじゃないか、もうちょっと周囲に気を配れよ、と思いつつ。
 やっぱり一番の見どころは最後のカレバでの攻防でしょうね。バシリカ(公会堂)に閉じ込められて援軍を待つ、炎の中仲間たちが傷つき倒れて行く。何かでも翻訳物の哀しさか、いまいち伝わって来ないんですよね; やっぱり、母国語でもっと緊迫感のある作品を読んでしまっているからなんだろうなぁ。ワシが発見されたくだりとか、もっと感動してもいい筈なのに。
 頭が柔軟だった小さい頃に読んでおけばよかったなぁ。