読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

GOSICK Ⅳ ―ゴシック・愚者を代弁せよ― 桜庭一樹著 角川文庫 2010年

 初出は2005年、富士見ミステリー文庫から。

 季節は初夏。村にできたばかりの小さな映画館で、久城一弥とアブリル・ブラッドリーは怪奇映画を見ていた。不気味な時計塔、そこに潜む仮面にローブ姿の怪人、変死する乙女。それは聖マルグリッド学園に昔からある怪談からインスパイアされて作られた物語らしい。
 同じ頃、ヴィクトリカは図書館最上階の秘密の部屋で、金色の書物と遭遇していた。飛び出す絵本さながらに凝った装丁の本は、その昔王国に君臨していたリヴァイアサンと名乗る伝説の錬金術師が書いたものらしい。
 <未来の汝よ。我は愚者なり。そして汝、愚者の代弁者となりて、我が愚かなりし秘密を暴け!>
 負けず嫌いのヴィクトリカが、この挑発に乗らない筈がない。折しも余所者の中国人が、学園の時計塔の中で死ぬという事件が起きた。何年か毎に、時計塔では謎の死者が出るらしい。
 1983年のソヴュール国王の死、翌年の大量のアフリカ人奴隷の死。以来、墓地に出ると言う姿のない幽霊の噂、そのアフリカ人の歌。時計塔の中は気分が悪くなる、その昔ここに籠って王妃の寵愛を受け、国の植民地政策にまで口を出した挙句失脚した錬金術師の呪いが残っているからなのか。
 学園から出られないヴィクトリカが、愚者=錬金術師の代弁者として何十年にもわたるその謎を解く。…

 マスグレーブってったらシャーロック・ホームズの短編に出て来たお坊ちゃんの名前だよな~。
 とか他愛のないことを思い出してしまいました。その昔錬金術師を怪しみ、追い込んだ大臣の名前なんですけどね。
 連想したのは小野不由美『悪霊になりたくない!』。だから、時計塔の秘密は察しがついちゃったんですけどね、錬金術師の正体は「あっ!」って感じでした。気付かなかったな~。
 謎の奇術師ブライアン・ロスコーもいよいよ登場。一弥に興味を抱きます。近代化が進む中、オカルトに走る旧大陸。…新大陸って呼び名も失礼ですけどね、ずっとそこにあったんだから(苦笑;)。
 でも一人の小さな少女がこれからの大戦にどういう力を持つのか、こんなに風呂敷広げて大丈夫かなぁ。…大丈夫だったんだろうなぁ、シリーズ一応終わってるし。
 アニメ化も決まったようですが、ヴィクトリカの声は誰が演じるのかな。「老女のようにしわがれた」でしょ、それともそこは目を瞑るのかしら。…とりあえず見る気は満々です(笑)。