読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

GOSICK Ⅴ ―ゴシック・ベルゼブブの頭蓋― 桜庭一樹著 角川文庫 2010年

 シリーズ本編5作目。初出は2005年、富士見ミステリー文庫
 ネタばれになってるかも、すみません;

 夏休みが終わって久城一弥は聖マルグリッド学園に戻って来た。でもヴィクトリカの姿がない。書物とお菓子が散らばる図書館の最上階はもぬけの殻、セシル先生曰く、昨夜ブロワ侯爵の部下がやって来て、ヴィクトリカを遠くの修道院へ連れて行ってしまったとか。気落ちする一弥をブロワ警部が訪れる。ヴィクトリカは学園を出て以来、なにも口にすることなく日に日に弱っているらしい。一弥はヴィクトリカの身の回りの物を詰めたトランクを片手に、彼女を迎えに行く決意をする。
 行く先はリトアニア修道院<ベルゼブブの頭蓋>。蝿の頭部のような形状のその修道院は、1914年、涙を流す聖母マリアが空中に現れると言う奇蹟を起こしてドイツ空軍を撃退した逸話を持つ。だが今では月に一度、魔術が起こすとされるショー<ファンタスマゴリアの夜>が催される夜会の場となっていた。
 行きの列車の中で、一弥は奇妙な客たちと出会う。修道院にいる娘に会いに行くのだと言う老人、魔術をまるで信じない小役人サイモン、バチカンからの使者・奇蹟認定人の修道士イアーゴ。一弥は知らなかったが、赤毛の奇術師ブライアン・ロスコーもその奇術道具チェスドールと共に、同じ列車に乗り合わせていた。
 <ベルゼブブの頭蓋>で、一弥はヴィクトリカを探し出す。<ファンタスマゴリアの夜>、人でごった返す中、一弥はヴィクトリカの手を引いて修道院から抜け出そうとする。そこで起こったのは、サイモンの殺人事件だった。双子の老修道女をメインにした入れ替わりの魔術の途中、疑問を投げかけたサイモンは舞台に上げられ、そのまま箱の中で刺殺されてしまった。
 混乱の中、続いてイアーゴが毒殺される。現場では黒衣の大男が目撃され、かき消えていた。
 サイモンが探していたと言う<形見箱>とは何か、ヴィクトリカは何のために、誰を誘き出すために連れて来られたのか、ブライアン・ロスコーは今回の殺人事件と関係しているのか。1914年の<落下させる聖マリアの怪>の真実と今の事件がリンクする。母の言葉を受けてヴィクトリカは真相を暴き、漸く帰りの列車の中で、次の事件が起きる。…

 ヴィクトリカの母親登場の一冊。…生きてたんですか! 
 一緒にいられないながらも娘を愛している様子は、桜庭さんの他の作品にも通じるものがありました。渡された指輪には意味があるんでしょうか。…これはただ単に貰っただけかな。
 今までのシリーズ同様、殺人事件のトリック自体はあまり目新しいものではなく、伏線が繋がって行くのを楽しむ感じ。今回は小説ならではのミスリードがありましたね。
 最初に出て来たヴィクトリカの手紙には意味がなかったが残念。まぁ、正確な文面出て来てなかったしね。
 次の巻に繋がるラストは初期の頃の『ペリー・メイスン』シリーズのよう、引きはたっぷりです。<形見箱>の中には何が入っているのか、コルデリアの存在の意味は。
 次巻に続きます。