読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

新世界より 上下  貴志祐介著  講談社  2008年

 第29回日本SF大賞受賞作。
 人々が念動力を手にした1000年後の世界を舞台としたSF作品。

 1000年後の日本。伝説。消える子供たち。
 ここは汚れなき理想郷のはずだった。

 子供たちは、大人になるために「呪力」を手に入れなければならない。
 一見のどかに見える学校で、子供たちは徹底的に管理されていた。
 いつわりの共同体が隠しているものとは――。
 何も知らずに育った子供たちに、悪夢が襲いかかる!           (上巻帯文より)

 見せかけの平和がいま崩れる。
 人類が手にしたのは、神の力か、悪魔の力か。

 八町標の外に出てはいけない――
 悪鬼と業魔から町を守るために、大人たちが作った忌まわしい伝説。
 いま伝説が、「実体」となって町に迫る。
 新しい秩序とは、おびただしい流血でしか生まれないのか。
 少女は、決死に冒険に身を投じる。                       (下巻帯文より)

 …貴志さん、昆虫系好きだなぁ。
 いや、これはあらすじ書くのが難しい話で。設定が、物語が進むにつれて明らかになって行くんですよね。だからあらすじがまるごとネタばれになる。と同時に伏線にもなる。
 読んでる間中、思い出していたのは『ダレン・シャン』のシリーズでした。異形の物に対する愛着というか興味の持ち方というかが、いかにも「男の子の作品」という感じで。根拠のあるダーク・ファンタジー
 元々私のキャラ萌えしない性質もあるんでしょうが、登場人物に特に惹きはなく(…)、とにかく「設定」でぐいぐい引っ張られたお話でした。不可思議な生き物が存在するこの世界の成り立ちは、主人公たちが住む町の秩序はどうして作られたのか、あまりにも多い禁忌の理由は。
 全てに説明がつく説得力。それと同時に弱点もあらわになり、さげすみの対象でしかなかった異形・バケネズミに壊滅寸前まで追い込まれる。その正体が最後の大オチで、これは見事だったんですが、嫌悪感を抱く人もいるだろうなぁ。
 面白い話であることは間違いないです。でも、好き嫌いは別れるでしょうね。