読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

笑いの現場 ひょうきん族前夜からM-1まで  ラサール石井著  角川SSC新書  2008年

 ラサール石井が「コント赤信号」として歩んだ時代――それは現在のお笑い界の第一線にいる芸人たちとの競演の時代でもあった。
 修行時代に新宿ゴールデン街で飲み仲間だったとんねるずや、「オレたちひょうきん族」の楽屋で談議したビートたけし明石屋さんま島田紳助ら。そこで熱く語られたのは、芸人として極めんとするそれぞれの笑いのスタイルについてだった。
 コント赤信号で歩いた時代を描く「ノンフィクション編」と、芸人それぞれの笑いを解説する「評論編」の2部構成で、お笑いの真髄を描く。         (裏表紙の紹介文より)

 かなり前に新聞の書評に載っていた本です。いつか読もうと思ってました。
 TVを見ていて妙に気になることがあったりして、でもどうしてそんな風にもやもやするのか判らなかったりすることがあります。その原因をはっきり言い当ててくれる文章とかに出会うとすっきりしてとても嬉しい。以前はナンシー関さんのエッセイでよくそう言う爽快感を味わえたのですが、この本でもそれに出会えて面白かったです。
 漫才ブームの始まりの頃の話は以前、小林信彦さんの『天才伝説横山やすし』で読んだことがありましたが、それ以降の、現場の人の実際見て来たことってのは裏話もあって新鮮でした。記憶違いも結構あったし。…「笑ってる場合ですよ!」って「オレたちひょうきん族」が始まるより前の番組だったんだなぁ。
 年齢によって影響を受けたお笑い番組が違うそうで、昭和30年代前半生まれが55号世代、後半の生まれはドリフ世代、40年代生まれはひょうきん族世代、以降「加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ」、とんねるず「みなさんのおかげです」、ダウンタウンごっつええ感じ」世代と続くんだとか。なるほど、私は兄がいるのでドリフもかすってますが、まさしくひょうきん族世代ですね。で、私はそれ以後の番組を見た覚えがないんですが、これは多分直でダウンタウンへ行っちゃったからですね。「4時ですよーだ」見てましたよ、関西だから。
 とんねるずに関しては、私は特に石橋さんの「いじめっ子やん」って態度がどうしても好きになれません。「食わず嫌い王選手権」とかは見てますが、「これは企画がいいんだよな」「司会が別の人でも見るよな」とか思ってしまう。以前読んだナンシー関さんの本の中の、「体育会系クラブの先輩後輩のノリを持ち込んだ芸風」って表現で「成程」と思ったのに加え、今回の「中高生のカリスマ」の説明で何となく納得したり。「細かすぎて伝わらないモノマネ」にしても、カリスマ二人を喜ばせるための接待のような作りになってるんですよね。これを切っ掛けに出て来る芸人さんもいるし。
 ダウンタウンの笑いが宗教のようなものになっていると言うこと、二人のフリートークが自然の漫才になっていると言うことは本当にその通りだよなぁ、と思いました。この間の番組「IPPONグランプリ」とか、松っちゃんの解説でさらに面白くなってたし。
 それにしても、この頃の芸人さんって優しいなぁ。「救ってやろう」「みんなで面白くなろう」ってのが目に見える時があるもんなぁ。