読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

エスケープ! 渡部建著 幻冬舎 2009年

 コント師 アンジャッシュ渡部建、初の著作。
 ネタばれになってるかな、すみません;

 ウメモトシュウは大学四回生。就職先は何とか決まったものの、将来の期待できないような会社であまり面白味はない。恋人のチカゲは結婚を仄めかしてくるわ新しくできたセレブな友人・フーちゃんを羨ましがるわすぐに機嫌を損ねるわ、何だか面倒臭い。鬱憤晴らしに買ったエンタメ雑誌の特集記事を見て、ふと魔が挿してしまう。
 …話に出て来たフーちゃんの家って、空き巣が狙う恰好の物件じゃないか?
 思い付いてしまうと止まらなかった。ヘアピンでピッキング工具を作り、フーちゃんの家を下見し、日曜の昼間は誰もいないことを確認して、さあ実行。所が玄関を開けてみたら、そこに中年男が立っていた。
 とっさに「フーちゃんの彼氏」を演じるシュウ。だが父親らしい中年男の態度も何だか怪しい。テレビを点けてくれと頼んで了承してくれたのに点けてくれず、熱帯魚にエサをやって殺してしまい、しかもこの家の父親は数年前に死んでいたことが明らかになる。
 すわ、幽霊だったのか!? 恐怖に駆られて、シュウは靴も履かずにダッシュで逃走。一人暮らしのアパートに辿り着くと、そこには何故かチカゲがいた。チカゲは様子のおかしいシュウを見て、浮気を疑っていたらしい。…

 コメディとコントの差って何なのかな。…とか思ったのは、丁度この間『キング オブ コント 2009』を見たばかりだからでもあるのですが。
 長さ、かなぁ。でも「ショートコント」ってのもあるよね。
 いかにもアンジャッシュの得意分野です。お互いがお互いを誤解したまま、噛み合わない会話を自分の都合のいいように解釈して、何故か話は進んで行く。「いい話」として最後にまとめてるのがお見事。最初「嫌な女の子だなぁ~」と思えたチカゲちゃんも、最後には何だか可愛くなったものね。いや、それでもラスト、三人で話す辺りは鬱陶しかったか(苦笑;)。
 いつものコントの登場人物に肉付けしていった感じかな。いや、普段からこのくらいは考えてるんでしょうね。ばっさり切ってた部分を詳しく書いてみました、みたいな。思い浮かんだ話に出て来た登場人物に、「ところであなた、どんな人生送ってたんですか?」と訊いてみたらまぁ語る語る…ってのは快感ですよね。
 表紙は渡部さん自身なんですが、これはシュウ君が部屋に通された状況でしょうか。その割にはちゃんとスニーカー履いてるけど(笑)。
 映画や舞台にもなりそう。芸人さん、凄いなぁ。