読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

オチケン! 大倉崇裕著 理論社 2007年

 大学の落語研究会を舞台にしたミステリー。

 その一 幽霊寿限無
 学同院大学に入学した越智健一は、岸弥一郎に落語研究会に連れ込まれてしまった。元々興味もやる気のないのに、持って生まれた優柔不断が災いして、なぜか毎日部室に通い、『寿限無』のテープを聴く羽目に。部員は越智を含め三人ぎりぎりしかいないくせに、資料だけたっぷり揃っているこの研究会は、プロも排出している名門伝統部らしい。だが今は弱小部でしかなく、部室は新興の三同好会に狙われていた。うち『お笑い研究会』は130人の大所帯、『釣竿会』は日々肉体鍛練を欠かさぬ半体育会系、『折り紙の会』はボランティア活動もしている上層部からも覚えのめでたそうな同好会。越智さえ抜ければ落研は人数不足で部から降格するということで、越智に対する嫌がらせが始った。
 直接脅しをかけて来る行為は、同じく落研の先輩・中村誠一の計らいで無くなった。だが落語を語る幽霊は出て、その隙に部室の使用申請書が紛失する事件が起きる。
 金庫に入っていた申請書がどうして無くなってしまったのか。夢うつつで聞いた『寿限無』の件の小さな相違点、岸先輩の落語『看板の一(ピン)』をヒントに、越智は真相に思い当たる。

 その二 馬術部の醜聞
 名門馬術部の新入生が喫煙騒ぎを起こした。誰かその様子をビデオに撮影した人物がいる。どうやら今までも数々の厄介事を解決していたらしい落研に、撮影者を突き止めてほしいとの依頼が回って来た。ビデオに映っていたのは馬術部の新入生たちが煙草を吸っている場面と、BGMのように流れる落語の一部。その家の家主の楽しみである日替わりの落語テープが、撮影時間を限定する手掛かりになった。当日その近くにいたのは折り紙同好会の女子一人。だが越智にはどうも納得が行かない。中村の聞き込みと岸のアドバイス、落語『時そば』をヒントに、越智は真犯人と、さらのその奥にいる黒幕に気が付く。…

 …このパソコン、「じゅげむ」が変換できねぇ…;
 大倉さんの作品を読むのは初めてです。
 するする読めました。取り上げてる落語にしても有名所ばかり、出てくるキャラクターも立っててすごく読み易い。ジュブナイル向けの落語入門編として十分だと思いました。舞台の学同院大学ってモデルは学習院なのかしら。明らかにシリーズ化を頭に入れてますよね、落研が過去に解決したと言う事件がどんなものかも知りたいなぁ。
 付録のエッセイに出て来ていた都築道夫著『なめくじ長屋』シリーズは小野不由美さんも「ルビの振り方が秀逸」って紹介してましたよね~。いつか読みたいとは思ってるんですが、新しい作家さんにはなかなか手が出ないんだよなぁ;
 それにしても越智くん、授業には出た方がいいよ…;