読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

図書館内乱 有川浩著 メディアワークス 2006年

 『図書館』シリーズ第二弾。
 ネタばれあります、すみません;

 あきれるほどの主人公体質・郁に代わって周りの人間に眼を向けた二作目。
 始まりは「愛情」を楯に親の考えを押し付ける郁の両親から。娘の職場を見学に武蔵野関東図書基地へやって来た。視野の狭い母親・寿子よりも、父・克宏は図書館に関連する記事を集めて読んだりして、郁の職種についてもどうやら察しているらしい。黙って認めてくれる様子だがそのハードルは結構厳しく、一般利用者として郁を試してみたり。克宏は堂上に、郁を頼んで帰って行く。…:『両親攪乱作戦』
    …職場に両親が働きっぷりを見に来る、ってイヤだなぁ;

 次は小牧教官の幼馴染み、妹のように可愛がっていた中澤毬江の話。突発性難聴の為に聴覚障害を負ってしまった彼女に勧めた一冊から、小牧はあらぬ容疑をかけられ、良化委員会の査問会に連行される。手塚はあまり使いたくなかった自分の伝で小牧の居場所を特定、郁と柴崎に事の次第を知らされた毬江と共に査問会に乗り込む。…:『恋の障害』
    …ちっ、小牧ロリコンか(笑)。
    確かに、若さゆえの過ちは認めたくないですわね(苦笑;)。

 柴崎にちょっかいを出す利用者・朝比奈光流が現れた。美人で頭もいい柴崎を面白く思わない同僚のやっかみもあって、柴崎は周囲に逆らえず、何度か昼食をつきあう羽目に。『週刊新世相』に載った少年犯罪者の供述書閲覧問題も相まって、柴崎の周囲は落ち着かない。…:『美女の微笑み』
    …誰かと話すときは基本的に話が漏れることが前提で、ってのは私も思ってますが…。
    で、漏れたらやばいことになるようなことは言わない、ってのは、私は品性だと思ってます。

 武蔵野第一図書館のホームページに、酷評メインのレビューが載っている。好きな本をくそみそに言われた郁は丸っきり気に入らない。出版社からの抗議もあってそのページは閉鎖されるが、書評を書いていた砂川一騎はその後、特定の図書を隠蔽するという騒ぎを起こし、共犯として郁の名前を挙げる。…『兄と弟』
    …読んだ本の感想書いてる身としては、少々耳に痛い一話。けなす時には(笑)、できるだけ
   「私は」こう思った、「私が」気に入らないのはこういう理由、って書くように気をつけてはいる
   んですが。でも盛り上がるのは、似たような感想を持った人と「そうだよね~!」って言い合える
   時なんですよね~(苦笑;)。

 査問会に呼ばれた郁。査問会そのものより、寮内での周囲の視線が辛い。『図書館未来企画』と言う研究会を主催する手塚の兄・慧は、弟・光を仲間に引き入れるため、郁をまず落とそうとする。…:『図書館の明日はどっちだ』…

 …こういうメディア論(?)に行くかぁ。
 「何十年か後の自由のために今ある自由を捨てろとか言えない」「読みたいのは今」。これは本当に実感します。恩田さんも『夜のピクニック』で書いてらっしゃいましたが、特に児童書は、読む時期によって絶対に評価が変わる。小さい頃にこの作品が読めていたならば、と思うものに出会うことは結構あるし、未来のためとか言いながらその頃に出会う可能性すらなくしてしまうのは違うと思う。何だかゆとり教育を思い出しました。子供のせいではないのに学ぶ機会が減らされて、失敗と決め付けられる。
 でもまぁ反対に、私は自他共に認める(笑)『十二国記』ファンですが(仲間内にせっせと布教に励みました・笑)、あれは中高生の頃出会ってたらきっとこんなにのめり込まなかっただろうなぁと言う自覚もあります。…それも含めて時期ですね~、そりゃ自分で選びたいさ(笑)。
 相変わらず、細かい所で頷いてしまいました。「いいお菓子を大事に食べないのは犯罪!」…本当に!
 そうそう、手塚と兄の関係に、ほんの少しだけ腐女子回路が動いてしまったことを告白します(←こらこら・笑)。勿論、ラスト柴崎との会話で忘れてしまった程度の動きだったのですが(笑)。
 さて、王子様の正体はばれてしまいました。郁と堂上の関係やいかに!?(笑)