読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

魔道祖師 4 墨香銅臭 著/鄭穎馨 訳/千二百 挿画 フロンティアワークス 2021年

 最終巻。番外集付き。ネタばれあります、すみません;

 乱葬崗から雲夢江氏の仙府に落ち着いた一行。そこへ金光瑶の罪を暴く証言者が二人もやってくる。あまりにものタイミングの良さに疑問を抱く魏無羨。だが周囲は既に金光瑶弾劾の雰囲気が高まっていた。
 江澄と諍ったこともあって仙府を出た魏無羨と藍忘機は、温寧と共に雲萍城に向かう。魏無羨が金光瑶の密室に潜入した時にその地名を目にしていた為だが、その地には観音廟が建てられ、参拝客でにぎわっていた。廟が陣を描いていて何かを封じていることに気付いた二人は、夜中、その陣を破ろうと再び訪れる。
 その場に金光瑶と、藍忘機の兄 藍㬢臣がいるのを見て驚く魏無羨。金光瑶は廟の中の棺を掘り返そうとしていた。聶懐桑や江澄、江厭離の息子 金凌や、凶屍となった聶明玦まで集まって、全ての過去、企みが明かされる。…

 家宴
 藍家の家宴に出席した魏無羨。お堅い藍家の料理は味気なく、魏無羨の口にはまるで合わない。宴の後、部屋に戻った魏無羨の前に、藍忘機は食事を並べる。

 香炉
 藍家の蔵から、古い香炉を引っ張り出して来た魏無羨。その夜から、魏無羨と藍忘機はお互いの夢に入り込むようになる。古い記憶を呼び起こす夢の中に。

 悪友
 凶屍の研究をする薛洋と、その後ろ盾になる若き日の金光瑶。金氏に敵対する一族郎党を死に追いやり、死体を研究材料として都合する。放蕩三昧の父 金光善の面倒を見た帰り、暁星塵と宋嵐とすれ違う。

 朝暮
 見習い修士たちを連れて夜狩に出た魏無羨。夜中帰って来て、藍忘機の寝床に潜り込む。

 魔道祖師 番外集

 奪門
 秦家の門を夜、ドンドンと叩く者がいる。目撃者によると死に装束を纏った化け物だったとか。依頼を受けた魏無羨と藍忘機は、主人の証言に疑問を抱く。この主人は、全てを正直には語っていない。2年以上も山野を彷徨っていたらしい凶屍は、何故今になって秦家を訪ったのか。

 鉄鉤
 白家の離れでは夜中、奇妙な音がするらしい。そこを覗き見た盗人が恐怖のあまり死んでしまったことから、蘭陵金氏に依頼が来た。魏無羨は遺体を検分し、彼の目に最後に見たものが映り残っているのを発見する。それはその地に伝わる殺人鬼 鉄鉤の面相だった。退治されたと伝承されている鉄鉤が、白家に関係あるのだろうか。見習い修士たちは魏無羨に命じられ、白家の離れを夜通し見張ることになる。

 蓮蓬
 魏無羨たちが姑蘇藍氏へ修学に赴いていた頃。夏の暑い盛り、近所の蓮池で花托を盗んで食べていた魏無羨、藍忘機も誘ったが勿論ついては来ない。だが藍忘機は藍忘機で、どうやら食べてみたかったらしい。

 雲夢
 町中の店で汁物を食べ、屋台の輪投げを冷やかし、小舟で蓮池を行く魏無羨と藍忘機。過去の出来事を連想する。…


  4巻になっていきなりBL感が強くなったなあ。
 面白かったです。緻密な構成、ドラマチックな展開。伏線回収しまくり、あれがそうだったのか!もあるしそんなのあったっけ!?(←おいおい)もあるし、さらに裏ボスまで出てくるし、誰一人ムダにしない。いやぁ、1~2巻引っくり返しましたよ。暁星塵と宋嵐のエピソード、抱山の設定確認と思ってたら眼球移殖の方が伏線だったのね~。
 登場人物の境遇は大概悲愴で痛ましいんですが、妙な所で笑いを誘ってくる。魏無羨が「お前とヤりたかったんだ!」って大声で叫んで周囲の人が固まる、ってのは、あれは笑っていいんですよね? 藍忘機が風呂桶壊す場面とか魏無羨の睦事の最中のやかましさとか(笑)。
 細かい所までエピソードはほぼ拾われてたと思うんですが(綿綿の本名まで!・笑)、結局藍忘機はいつから魏無羨を好きだったのか、その切っ掛けが分からずじまいだったような…。ウサギの挿話、って本当に初期なんだけど、そうなるとほぼ一目惚れだよなぁ。でも姿形が変わっても 藍忘機は魏無羨に気付いた訳で、これはこれで萌える人いるよな、きっと。
 個人的に惜しむらくは、何だかんだ、これだけ詰め込まれた作品なのに、最終的には二人のいちゃいちゃしか印象に残ってないこと(←おい)。でも結局、それも微笑ましく「まぁいっか」「ずっとやってろ」ってにやにやしてしまうんですけどね。番外集のエピソード読んでると、ああ、二人はこうやってこれからずっと暮らして行くんだね、ってしみじみしてしまいましたよ。江厭離に「食べ物勧めるしか能がないのか!?」的なこと言ったり、もうセルフパロディになってるしなぁ。

 でもこれで、アニメも楽しめそうです。最後までまた日本でもやってくれるのかな、ラスト近辺の金光瑶の台詞は、そっくり石田さんの声で聞こえました(笑)。

 表紙折り返しのウサギ二羽が、最終巻で漸く寄り添う装幀にも、ああ、この作品愛されて作られてるなぁ、と嬉しくなりました。