読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

めぐりくる夏 フランバーズ屋敷の人びと3  K.M.ペイトン著/掛川恭子訳  岩波少年文庫  1981年

 シリーズ三作目。舞台は1916年、クリスチナ21歳の出来事。
 英国での初出は1969年。
 ネタばれというか粗筋ほとんど書いてます、すみません;

 夫ウィルが戦死し、クリスチナはフランバーズ屋敷に戻って来た。屋敷は荒廃し、農場は荒れるにまかせている状態。年取った女中メアリーや馬丁のファウラーは愚痴ばかり口にして、何も動こうとしなかった。クリスチナは父親から引き継いだ財産を使って、農場を立て直そうと考える。
 馬を飼い、馬具を揃える。働き手を探したが、若者は皆戦争へ行っておりろくな者は残っていない。やがてクリスチナは、自分の胎内にウィルの忘れ形見が宿っていることに気付く。
 産まれてくる子供のためにも、もう一人子供が欲しい。クリスチナは昔、マークに手を付けられ子供を身籠って屋敷を追い出されたバイオレットを訪ね、マークの子供・ティジーを引き取る。
 ラッセル家の子供らしく馬に興味を示すティジー。それは伯父ディックの影響でもあった。クリスチナは肺を病んで除隊になったディックに、もう一度フランバーズ屋敷へ来て働いてくれるよう頼む。ディックからは色よい返事が得られず、クリスチナはドイツ兵捕虜・ウィルヘルムを農夫として雇う。ウィルヘルムはよい働き手だったが言葉が通じない。収穫時期になってディックがフランバーズ屋敷へやって来る。ディックはウィルヘルムとの通訳までしてみせる。
 やっと農場経営が軌道に乗って来た。長女イザベルも生まれ何もかも順調に思えた矢先、農場の鼻先にドイツ軍の飛行機が墜落する。クリスチナはウィルを思い出し、激しく動揺する。その上、パレスチナ戦線で行方不明だったマークが帰って来た。
 相変わらずマークは癇に障る物言いをする。ディックとは仲違いしたまま、ティジーだけは天真爛漫なマークを英雄視して懐いていたが、やがて感情のまま暴力を振るうマークに怯え始める。マークはティジーの望むまま気性の不安定な馬に乗せて落馬させ、クリスチナを激怒させる。マークと口論し、屋敷を出て行くと宣言するクリスチナ。その話を聞いたティジーは農場へ行きたくないと、小屋に火を放つ。協力して延焼を防ぐディックとマーク。負債を抱えた農場を、クリスチナはマークから買い取る決意をする。その時ちょうどフランバーズ屋敷を、看護婦になったドロシーが訪ねて来る。…

 この当時のイギリスの田舎風景として読みました。戦争に若者を取られての人手不足、ドイツ人捕虜を働き手に使ってたんですね~! 飛行機乗りを夫に持ち、都会で最先端の暮らしをしていたクリスチナが農場経営に乗り出す。旧弊な階層意識が技術革新によって意識から取り払われる、ってのは何か納得しました。でも田舎には残ってるんですね~。
 ラストはまさしくハッピーエンド。…でも最終作があるんですよね~。どう終わるのかな。