読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

愛ふたたび 上下 フランバーズ屋敷の人びと4・5  K.M.ペイトン著/掛川恭子訳  岩波少年文庫  1986年

 シリーズ4作目。クリスチナがディックと結婚してからの二年間を描いたもの。
 英国での初出は1981年。
 ネタばれと言うか、あらすじほとんど書いてます、すみません;

 農夫のディックと階級を超えて結ばれたクリスチナ。グレイスおばは、最先端の世界に触れて過ごし、進歩的な考えを持ったクリスチナが田舎の農場で暮らしていけるのかと警告する。
 ディックは働き者だったが、周囲とはあまり上手く行かなかった。元からの女中メアリーも馬丁のファウラーも、成り上がったディックを主人とは認められなかった。戦争で大怪我を負ったマークが入院先から搬送されて来ると、喜んでそちらの世話をする有様。ディックは当然面白くないし、クリスチナも我儘なマークの看護に追われる。マークの妻・看護婦のドロシーが戦場の病院から戻って来てようやくフランバーズ屋敷から出て行ってくれるかと思いきや、マークはクリスチナが忘れられず、かつてのダーモット邸を買い取ってそこで過ごすと言う。
 真面目に働きはするものの、狩猟やパーティーなど娯楽は一切認められないディック。働きもせず、遊んでばかりいるマーク。活動的なクリスチナは自分のやりたいことができなくてストレスが溜まる一方、自由なマークに惹かれて行く。マークとドロシーの仲も、ドロシーが子供を産む気がないことから離れて行く。マークは戦争中の仲間を引き連れて自動車修理場を経営し、自身も自動車を乗り回す。ふざけじゃれあって馬車に乗ったクリスチナを追い回し、落馬させてお腹の子供を死産させてしまう。
 怒り狂うディック。これが決定打となり、ディックの心はクリスチナから離れて行く。農場に小屋を建て、一人で住む。やがて、乳母としてフランバーズ屋敷に雇われているクララと同棲するようになる。
 自分を責めるクリスチナ。気分転換に自動車レースに連れ出されたり、狩猟を楽しんだり。ディックの不義理を知り、離婚を決意する。…

 …これ、「少年少女向け」か…??
 元々私自身、どろどろの愛憎劇が苦手なせいもあるんですが、どうも読み飛ばしたくて仕方ありませんでした。これは登場人物の誰にも好意が持てないのが大きいんだろうなぁ。
 私からすると癇癪持ちで気まぐれで自分勝手なマークにはまず惹かれない。療養中で食餌制限のある中、アルコールを飲んで苦しむって、一回やれば十分でしょう、それで周りに迷惑を掛けるって学習能力ないのかと腹が立つばかり。元農場主と言う身分だから、「周りに気遣う」って感覚がないんでしょうけど、でもね~。
 ディックも、自分の価値観をどうしても変えられない。「働かないでいい身分」のマークを嫌悪する一方、クリスチナを囲い込もうとする。
 クリスチナもウィルが生きてたらこんなことにはならなかったんでしょうね。思い出の中で美化されて行ってる気がしないでもないけれど、でもマークと一緒になっても苦労するばかりだと思うなぁ。
 当時の時代背景を描いた2・3巻の方が面白かったです。…何かしんどい作品でした;